2012-01-01から1年間の記事一覧

日本の賃金の歴史と展望 その2

「日本の賃金の歴史と展望 その1」の続きです。 労働組合に対する信頼はあるのですが、今、現実に労働組合が取り組めているかどうか、そこに対しては厳しい目が向けれらています。 特に、同じ仕事をしているにもかかわらず、正社員との賃金・労働条件格差が…

日本の賃金の歴史と展望 その1

「連合総研『日本の賃金の歴史と展望』調査報告書」」で、hamachanが、「賃金の歴史をもとにした総論も大変読み応えがあります」と書かれています。 この報告書の総論の読みどころは、「第Ⅱ部 賃金分析の方法」、特に「第1章 私の賃金は高いのか、安いのか(…

メンバー交代型二大政党制の悲劇

「三党鼎立ができない条件」で書いたような、思想的に統一されていない二つの政党ができると、「どちらに向かって風が吹いても、与党も野党も明確な政治思想を持つものではなくなったまま、選挙ごとに吹く風のまにまに、政権交代が行われていく」のですが、…

3号被保険者1,000万人割れ

「3号被保険者制度は不公平か?」で、3号被保険者制度が不公平なものなのか度か議論しましたが、3号被保険者は何人いるのでしょうか?厚生労働省年金局が「厚生年金保険・国民年金事業報告」を公表しました。これによると平成23年度末の3号被保険者は、97…

hamachanの誤解

「連合総研「日本の賃金の歴史と展望』調査報告書」」で、hamachanが、「金子良事さんの賃金の歴史をもとにした総論も大変読み応えがあります」と書かれていますが、これは誤解です。 確かに、読み応えがあるというのは事実ですが、報告書に書かれている通り…

常勤の女性が第1子を生んだとき、仕事を辞めないのが普通になった

「母親のワークライフバランス」では、厚生労働省の、「第8回21世紀出生児縦断調査」を使って、母親の「常勤」の問題を議論しました。 今回、厚生労働省がこの調査の「第二波」を発表しました。これまでの調査は2001年に生まれたお子さんと家族の状況を追…

三党鼎立ができない条件

「政治思想は、どこまで力があるのか?」とは別に、理論的にはすっきりとした三党鼎立ができない条件があります。 1 小選挙区制であること 2 各政治勢力にグラディエーションがあり、主流派と非主流派があること 3 選挙のたびに風が吹くこと 4 野党でい…

政治思想は、どこまで力があるのか?

「政治思想の対立軸を考える。その3」砂原先生に頂いたコメントについての感想です。 第一の軸、第二の軸はヨーロッパや、アメリカの政治を考えるうえで重要な軸、理論的にも実際にも、であると思っています。これらの国々に深く根差した軸なのでしょう。こ…

政治思想の対立軸を考える。その3

「政治思想の対立軸を考える。その2」で考えたような三党鼎立の状況が発生したとします。 どの政党も議会で単独過半数を取れない場合、連立、あるいは部分連合のような連携が必要になってきます。 どのような連携が可能性が高いかを考えてみます。政治には…

政治思想の対立軸を考える。その2

「政治思想の対立軸を考える。その1」で考えた三つの政治勢力が、それぞれその思想で統一された有力な政党を持てるかを考えてみました。 日本では結社の自由が権利として保障されていますので、政党を作ることはいつでも可能です。しかし、政治思想に基づい…

政治思想の対立軸を考える。その1

時節柄、現在の日本の政治思想の対立軸を考えてみました。まだ、結論を出せていないのですが、そのプロセスを書いてみたいと思います。ここで政治思想というのは政治に携わるときの基本的な考えといった意味合いです。 なお、「自由民主党は社会民主主義政党…

生活保護から抜け出すためには

厚生労働省から、23年度の福祉行政報告例が発表されています。 生活保護の廃止、つまり生活保護から抜け出せた理由が示されています。死亡と失そうというのがかなりあるのですが、それを除いた理由のうち、何が大きな割合を占めているのかを調べてみました。…

法律ではそうなっているかもしれないけれど

「混乱の本当の原因」で取り上げた権利の乱用に関連して。 「法律ではそうかもしれないけれど」、「契約上はそうかもしれないけれど」、「いくらなんでも、それはないんじゃないか?」という問題は多々ある。法律が社会の良識と完全に一致するような結果をも…

続小野理論 その6

「続小野理論 その5」の続きです。 3 二つの予算制約の下で基本方程式を満たす行動 家計は、一方で、フローの予算制約、ストックの予算制約のもとで、基本方程式を満たすように、最適な現在の実質消費、実質消費の成長率、実質貨幣保有量、実質収益資産保…

続小野理論 その5

「続小野理論 その4」の続きです。 2 予算制約 均衡条件だけでは家計の行動は決定されない。家計が決定することができず、所与のものとして受け入れなければならないものがある。また、行動できる範囲の制限が必要である。前者は価格体系(価格が決まれば…

平時忠

平時忠は桓武平氏の一員である。桓武平氏のうち有名なのは平清盛が属する武門平家であるが、時忠の系列は、軍事貴族ではなく文官として生き、のちに堂上家の家格で定着したために、現在は堂上平家と呼ばれている。 時忠と清盛は同時代人であり、時忠の姉、時…

続小野理論 その4

「続小野理論 その3」の続きです。 Ⅲ 家計の最適化行動 1 消費と貯蓄、資産配分の決定 家計は、その期の実質所得をその期に消費するか、貯蓄するかを選べる。貯蓄する場合には貨幣を保有して流動性を得て、次期に消費するか、株式(収益性資産)を保有して…

続小野理論 その3

「続小野理論 その2」の続きです。 このモデルで用いられている特徴的な定義などは次のとおりである。 (特徴的な定義1)流動性プレミアム:流動性の限界効用を消費の限界効用で割ったもの。(限界効用を限界効用で割るので無名数になると私は考えているが…

続小野理論 その2

「続小野理論 その1」の続きです。今回は、小野モデルで使われている仮定のまとめです。定義については、次回。 Ⅱ 小野モデルの仮定と定義 1 特徴的な仮定 不況均衡が存在しえるのは、次の特徴的な仮定からである。 (特長的な仮定1) 代表的な家計は各期…

続小野理論 その1

「小野理論」のやり直しです。 ここで取り上げるのは小野善康『金融』(岩波書店)第5章までの小野モデルです。勉強の途中であり、浅学菲才のみで書いているので間違っている可能性は大いにあります。そのつもりでお読みいただきたい。 Ⅰ 小野モデルの特長 …

「国の一般会計23年度決算」に思う。

「国の一般会計23年度決算」の続きです。 4兆円という額を、主な支出と比べてみましょう。 社会保障関係費30兆円の12%にしかなりません。社会保障関係費を税金で賄うためには26兆円、税収を増やす必要があります。 文教及び科学振興費6兆円の三分の二。 …

国の一般会計23年度決算

財務省から、23年度決算が発表されています。http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/account/fy2011/ke240731sankou-1.pdf 歳入は、110兆円ですが、このうち前年度からの繰越金が5兆円あるので、23年度の実質的な歳入は、105兆円です。このうち税収は…

「有期契約法制の改正」について

「有期契約法制の改正」にがちもさんから次のようなコメントを頂きました。まだこの改正についてはわからないことが多いのですが、とりあえず、お返事を。 「自分も、転換後の期間の定めのない契約について労働条件を当事者で定めることができるとした規定は…

有期契約法制の改正

日経新聞のこの記事の最後で引っ掛かりました。 改正労働契約法、勤続5年で無期限雇用 パート待遇改善へ道 2012/8/3 23:37 同じ職場で5年を超えて働いているパートや契約社員を対象に、本人が希望すれば無期限の雇用への切り替えを企業に義務づける改正労…

運用でいいのか?

毎日新聞のこの社説に強い違和感を感じました。 社説:国の出先改革 法案提出の約束を守れ 毎日新聞 2012年08月02日 02時33分 国の出先機関の地方への移譲の行方が極めて危うくなっている。野田佳彦首相は今年1月の施政方針演説で今国会に関連法案を「提出い…

「言論の自由」について

「言論の自由」を読んで、 「やらせ」ってなんだろうと思いました。 悪い意味での「やらせ」というのは、 1 テレビ番組の制作会社が(テレビ局の黙認のもとに、あるいは示唆を受けて) 2 視聴者には利害関係のない素人だと思わせておいて、実は、金で雇っ…

先祖がえり?

NHKのニュースから 鉄道の駅員らが乗客から暴力をふるわれるトラブルが、昨年度、全国で合わせておよそ900件と、これまでで最も多くなったことから、鉄道各社は13日から全国の駅で暴力の防止を呼びかける取り組みを始めました。 このうち、東京のJR新…

銀行の税金 23年度決算

「銀行の税金 22年度中間決算」の続きです。 全国銀行協会が、全国銀行の23年度の決算(単体)を発表しました。 経常利益と税引き前当期利益は、2年度連続で3兆円を超えました。どちらもリーマンショック以前の19年度決算より多くなっています。 銀行の…

「再生可能エネルギーの買い取り価格」について

「再生可能エネルギーの買い取り価格」に,500drachmasさんから、次のようなコメントを頂きました。貴重な情報を提供していただきありがとうございます。 調達原価算定委員会の資料 http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/pdf/006_02_00.pdf 3ペー…

「東電よ、値上げするなら賃下げせよby河野太郎先生」について

「東電よ、値上げするなら賃下げせよby河野太郎先生」で、労務屋さんが次のように書いてられる。 全体としてとにかく値上げする以上は労働条件を引き下げろというトーンが非常に強く、まあ河野代議士の東電憎しの心情はわからないではないのですが、しかし国…