2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ニートのミクロ経済学 その3

「今頃なんだ」と言われるかもしれませんが、このブログは、「実証派」を標榜しているのですが、今回の「ニートのミクロ経済学」シリーズは、全く実証的ではありません。お断りしておきます。 前々回の「「ニート」のミクロ経済学 その1」で書いた 1 個人…

「ニート」のミクロ経済学 その2

「「ニート」のミクロ経済学 その1」の続きなのですが、少し脇道にそれます。 日本経済新聞がの今日の社説「総合対策が必要な若年雇用」で、「在学・在校中にキャリアを考えさせる教育」、「個人ごとにあった求職活動を助けるカウンセリング」、「企業の受…

「ニート」のミクロ経済学 その1

bewaadさんが、「『ニート』を騒ぐ連中は隗より始めよ」(http://bewaad.com/20050527.html#c12)でミクロ対策派に対する痛快な批判をされています。ミクロ対策より何より、まず第一に、労働需要を増やす政策を採るべきだというのがbewaadさんのご主張、ご提言…

rascalさんのコメントに答えて その4

「rascalさんのコメントに答えて その3」の続きです。 前回データのリンクを忘れました。 職種別の労働者数のデータはここです。平成15年の結果です。 一般労働者 http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/data-rou4/data15/30401.xls パートタイム労働…

rascalさんのコメントに答えて その3

「rascalさんのコメントに答えて その2」について 前回の続きです。今日は「飽和」です。 パートタイム労働者に「飽和」が起こっているかどうかの証明は困難であるというのがrascalさんのご指摘です。 厳密な証明は確かに困難ですが、パートタイム労働者が…

rascalさんのコメントに答えて その2

前回の続きです。 私は、フルタイム労働者とパートタイム労働者の間の「代替」、「補完」について次のように予想しています。 1 企業の中には、複数の職種があるのが普通です。 2 そして、職種によってパートタイム労働になじみ易い職種とそうでない職種が…

rascalさんのコメントに答えて その1

「パートタイム労働者が増えなくなったのはなぜ? その1」「パートタイム労働者が増えなくなったのはなぜ? その2」「パートタイム労働者が増えなくなったのはなぜ? その3」 に、rascalさんから丁寧なコメントをいただきました。 rascalさんのコメントは…

今年の3月は人口大幅減少

「今年の2月はコウノトリには寒すぎた?」で、今年の2月は異常に出生が少ないと書いたのですが、3月は、異常に死亡の多い月でした。いったいどうなっているのでしょう。 3月の人口動態統計速報が、発表されました。 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin…

「ニートは救われるか?」のコメントに答えて

「ニートは救われるか?」に「風の祈り」さんとInoueさんからコメントをいただきました。ありがとうございます。 どちらも私にとっては思考を刺激されるコメントです。いろいろ考えたので、お返事が長くなりますので記事にします。 このブログは、「実証派ブ…

ニートは救われるか?

おとといの続きです。「ニート その5」で書いた「景気が回復し、労働市場の状況がよくなれば」無業者の問題は解決するといえるのでしょうか。 「半分正しい。」というのが私の答えです。 確かに景気が回復し求人が増えれば、特に、質のいい求人が増えれば、…

「これからの若者は仕事を見つけられるか?」 続報

「これからの若者は仕事を見つけられるか?その2」で今年の春の卒業者の2月1日の内定状況を紹介したのですが、高校生の3月末、大学生などの4月1日の状況が発表されました。 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/05/h0513-2.html http://www.mhlw.go.jp/…

ニート その5

昨日の続きです。もう一度中間報告の概要を見てください。 報告書では「無業者」を「求職型」、「非求職型」、「非希望型」に分けています。 求職型は、就職を希望し、求職活動をしている個人、 非求職型は、就職を希望しているが、求職活動はしていない個人…

ニート その4

昨日の続きで「配偶者がいない」ことを「若年無業者」の条件とすることの問題点です。今回の問題は定義自体のものではなく、集計結果の解釈についてのものです。 もう一度中間報告の概要を見てください。 主な結果として 「若年無業者は・・・1992年から…

家庭内分業さんへのお答え

「ニート その3」に、「家庭内分業」さんからコメントをいただきました。お答えが長くなるので、記事にします。(コメントは「ニート その3」でご覧下さい。) まず、私は、夫婦が家庭内で役割分担をすることについては、何の問題もないと考えています。基…

ニート その3

若年無業者の定義の「2 配偶者のいない独身者」には、大きな問題があります。 極端な例を出します。「若年無業者」同士が結婚すると、その瞬間に二人とも「若年無業者」ではなくなってしまいます。仕事についても所得についても、これまでと同じで、結婚し…

ニート その2 訂正版

昨日の続きです。 昨日書いた若年無業者の定義の 「4 15歳から34歳までの個人」には少し疑問を感じています。 15歳というのは労働可能な最低年齢ですから、これは問題がありません。 34歳は、微妙です。「若年」という観点で考えるなら、29歳でも…

お詫びと訂正

昨日の「ニート その2」で、 「就業構造基本調査で、無業者であって、家事をしているわけでもなければ、通学をしているわけでもない人の数を調べると、25歳から29歳では、179万人、30から34歳は232万人います。これに対して、35歳から39…

ニート その1

「「【神になったニート】働いたら負けかなと思ってる 」について」で、少しニートについて書いたのですが、内閣府から「若年無業者に関する調査」の中間報告が出たので、もう少し考えてみたいと思います。十分考えがまとまっているとは言えないのですが、た…

派遣労働者の数 放送業では?

「派遣労働者の謎 いったい何人いるのか?」で、派遣労働者の実数は85万人。登録者なら236万人と書きました。 この記事にシーラカンスさんからのコメントをいただいていました。実感としてはもっと多い。職場がテレビ局だからかという内容でした。 総務…

パートタイム労働者が増えなくなったのはなぜ? その4

最後の仮説は、「フルタイム労働者の非正規化」です。 典型的なパートタイム労働者は、次の四つの条件を満たしています。 1 短時間労働 2 基本給は時給 3 雇用期間に定めがある契約(実際には更新されることが多い大いにしても、です。) 4 それほどの熟…

パートタイム労働者が増えなくなったのはなぜ? その3

「パートタイム労働者が増えなくなったのはなぜ? その2」では、増えなくなった理由として「反動」を考えました。 第三番目の仮説は「飽和」です。「同一賃金同一労働のアイロニーその2,3」で、パートタイム労働は、「かなり定型化されていて、本人の裁…

パートタイム労働者が増えなくなったのはなぜ? その2

昨日に続いて、パートタイム労働者が増えなくなった理由を考えます。 昨日書いたように、パートタイム労働者と一般労働者の賃金の差が小さくなったせいではなさそうです。 第二番目の理由として考えられるのは、「反動」です。今まで、企業は、正社員の採用…

パートタイム労働者が増えなくなったのはなぜ? その1

厚生労働省が、2日に3月の毎月勤労統計を発表しました。http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/17/1703p/mk1703p.html 今年の1月から3ヶ月連続で、一般労働者の雇用指数が、前年同月を上回っています。(雇用の推移のグラフをご覧下さい。…