2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

市場の失敗 その2 量子力学

「市場の失敗 その1」その1で述べたように現実の労働市場は、はなはだ不完全な物でしかありません。 これに加えて労働サービスの提供者である労働者は意志を持っており、労働サービスは買い手である企業の自由にはなりません。多かれ少なかれ労働者の意志が…

市場の失敗 その1

濱口先生が「労働者と使用者は決して対等ではない」で、こんなことを書かれています。少し長いのですが、引用します。 『東洋経済』2月16日号(特集「雇用漂流」)に掲載された私のインタビュー記事を、次の号が発売されたので、ここにアップしておきます。…

厚生経済学の第一命題

自由主義経済を擁護する理論的な根拠として、「自由市場経済で実現する資源配分は『パレート最適』である。」という「厚生経済学の第一命題」があります。 この命題は、ひどく抽象的で分かりにくいと思います。この命題にたどり着くまで、ケネーあるいはアダ…

パレート最適

自由主義経済を擁護する理論的な根拠として、「自由市場経済で実現する資源配分はパレート最適である。」という。「厚生経済学の第一命題」があります。この重要な命題にパレート最適という概念が使われています。厚生経済学にとっては、非常に重要な概念で…

消費者主権

「消費者主権」という言葉には、事実判断としての意味合いと価値判断的な意味合いの両方があります。 事実判断としては、自由な市場機構のもとでは、最終的には消費者が資源配分の決定権を持っているという事実を意味します。この場合には、消費者の購買力が…

補完性の原理と二重行政

「「規制権限の分権と二重行政」について その2」に引き続いて すなはらさんが、「続・規制権限の分権と二重行政」で、二重行政についての地方分権派の主張を、次のように要約されています。 「二重行政を解消しろ!」と叫ぶ人たちの議論は次のようになって…

輸入原材料価格の高騰にどう対応すべきか?

「原油価格上昇」で紹介したような輸入財価格の高騰が続いています。これにどう対応すべきなのか、歴史を振り返って考えてみました。 日本経済は、原材料を輸入に頼っており、輸入原材料の価格が大きく変化すると、経済はそれに適応するため大きな変化を遂げ…

社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その28

「社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その27」の続きで、「2.3.4 リカードの中立命題と消費」の説明です。 リカードの中立命題は等価命題(equivalence theorem)とも呼ばれています。 次の条件の下では、t期の一人当たり政府支出(gt)が…

社会保障基金の怪

岩本先生が「社会保障基金の財政収支が不思議な動き」(http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/1733167.html)こんなことを書いていらっしゃるのを読んで、調べてみました。 『国民経済計算』2006年度確報での社会保障基金の財政収支が不思議な動きをして…

労働時間と賃金と健康問題とをそれぞれ切り離していいのかなぁ

hamachannさんが、「丸尾拓養氏のマクド判決批評」(http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_45be.html)というエントリーを書かれています。一部引用します。 日経BIZPLUSに連載されている丸尾拓養氏の「法的視点から考える人事の現場の問…

「規制権限の分権と二重行政」について その2

「「規制権限の分権と二重行政」について」の続きです。 すなはらさんが、「続・規制権限の分権と二重行政」で、二重行政についての地方分権派の主張を「地方自治体が各地域のニーズに合わせて「個別労働関係紛争の処理」という事務を行えばよい,という話に…

「規制権限の分権と二重行政」について

すなはらさんが、「規制権限の分権と二重行政」でこんなことを書かれています。 実は,労働紛争を解決するために設置された機関としては,「都道府県労働委員会」という都道府県の機関も存在します。しかし,この労働委員会と労働局の違いはかなり難しい。例…

社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その27

「社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その26」の続きで、「2.3.3 トービンのqと投資関数」の解説です。 学生時代にトービンのqを習った方は、企業の投資行動を説明する理論として理解されていると思います。このテキストでは、これを代表的…