2008-01-01から1年間の記事一覧

社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その40

今回は、「3.1.4 裁定市場と市場の効率性」の解説です。前回示した「粗割引率1+rはp2÷p1、つまり将来財と現在財の相対価格に等しい」理由をもう一度考えます。 ここで重要なのは、裁定取引、あるいは裁定機会という概念です。社会人の中には現実…

非正規社員の雇用・生活保障

2008年12月26日の毎日新聞のオピニオン欄が「どうする非正規雇用の大量解雇」という特集を組み、大阪大学の大竹先生、関根秀一郎派遣ユニオン書記長、川本裕康日本経団連常務理事が論説を書かれています。私は「大竹先生の論説」に思考を刺激されま…

基軸通貨国によるゼロ金利強制

基軸通貨国、現在でいえばアメリカ、がゼロ金利を実施したら、他の国に何が起こるかを考えて見ます。 大前提として非基軸通貨国は、資本移動をコントロールするための為替取引規制を行っていないものとします。 まず、円のレートと金利の関係を整理しておき…

銀行の税金 20年度中間決算

「銀行の税金 19年度決算 」に引き続き、全国銀行協会発表の20年度(単独)中間決算です(http://www.zenginkyo.or.jp/stats/year2_01/details/cont_2008_interim.html)。 とても景気の悪い話です。 銀行の利益(億円)経常利益純特別利益税引き前当期…

原油価格前年同月比2割値下がり。原油を買おう。

11月の貿易統計が公表されました。「祝 原油価格大幅低下」で示したとおり、10月は対前年同月比21%の値上がりでしたが、11月は22%の値下がりです。 「原油及び粗油」の輸入価格(1リットルあたり円)」月価格(円)上昇率(%)1月45.31…

基軸通貨(国)の条件

Baatarismさんが、基軸通貨の条件が「基軸通貨や決済通貨がどのようにして選ばれるかというのは、どうもよく分からないんですよね。単純に債権国であれば良いというわけでもなさそうだし、軍事や外交との関係もあるようなないような。」と書いてお…

社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その39

「社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その38」の続きです。 今回から、「第3章 資産価格決定理論と代表的個人」に入ります。テキストに書かれているとおり、「代表的個人モデルが多くの主体が取引を行っている経済とどのような対応関係にあるのか…

祝 原油価格大幅低下

9月に引き続き下がりました。今回はリットル当たり15.1円も値下がりしました。前年と比べると20.8%の値上がりですが、ピークの8月に比べれば27%の値下がりです。 「祝 原油価格低下」で「最近はさらに原油がドル建てで値下がりし、円高になっ…

筋を通そう

保守親父@労務さんが 「国家公務員の所定労働時間、15分短縮」でこんなことを書かれています。 1日あたり15分の所定労働時間短縮は大きいですねぇ。これは時間あたり賃金で単純計算すれば約3.2%のベアに相当します。もし、短縮された15分にも割増賃金を支…

マネーのトラックを変えよう

今朝(2008年11月22日)の日経朝刊に、丸紅・大阪ガスがアブダビの発電事業に出資するという記事が載っていました。 2011年を目処にアブダビで出力110万キロワットの発電所を作るのだそうです。運営期間は20年とされています。2000億円…

雑感、不安感

この記事はhamachanさんの「鈴鹿国際大学事件」のパクリです。全文を引いているわけではないので、元のエントリとそこに引かれている最高裁の判決もお読みになることをお勧めします。 地裁では原告勝訴、高裁では被告勝訴と判断が分かれましたが、最高裁は再…

交易条件の改善

本石町日記の「中曽理事の雑感&原油安による交易条件改善」で、bank.of.japanさんが、次のように書かれている。(番号は平家が追加) (1) 原油が着々と下がっている。良いことである。ただ、これで別にマクロ経済の先行きが明るくなるわけではない。真っ…

アメリカの国債消化は問題ない(はず)

「金融危機対処法」で書いた「公的資金の投入」をアメリカが実施しつつあります。他にも対策を打ちつつあります。 アメリカが、金融機関への公的資金の投入などのため大量に国債を発行する予定であす。この国債の消化を心配して、日本がこれを買うべきだとい…

ねんきん特別便 その8 171万人

報道によると、発送されたねんきん特別便8,811万通のうち171万通が宛名不明で帰ってきているそうです。2%弱です。 住所の移動が多いことなどを考えると、かなりの好成績だと思います。6%ぐらいかなと思っていました。 住所不明が多いのは、年金…

「○○さんは、妊娠していない。」について

「○○さんは、妊娠していない。」で、シーラカンスさんが、 ニンシンしてなくても、 結婚していいんですよね? と質問されています。もちろん結婚してもいいのです。 それはそれとして、日本で生まれた嫡出子、かつ、第一子のうち結婚期間が妊娠期間より短い…

金融危機の後に その3

さて、A国が「金融危機の後に その2」で書いたような政策をとって、大変身を遂げるとどんな国になるのでしょう? 輸出主導で生産を拡大し、消費せずに貯蓄に励む国です。 これって、心当たりがありませんか? そう、J国なのです。A国が今後モデルとすべ…

金融危機の後に その2

「金融危機の後に その1」で書いた 生産を拡大して所得を増やし、かつ、消費を抑制して、一方で貯蓄を増やし、他方で輸出を増やす。同時に、税収を増やす。 という提案が有効である理由を説明しておきます。 1 国民が貯蓄を増やせば、国債の購入(家計がM…

金融危機の後に その1

「金融危機対処法 その2」について で書いているように、短期の金融市場の流動性危機は何とか対応できているようです。 何とか対応できているという状態が続けば、次の問題、金融機関の資本が十分かどうかの問題に焦点が移っていきます。少し、長い目で、そ…

「総選挙は、どこに?」について

シーラカンスさんが、「総選挙は、どこに?」で「とか言ってたら株価大暴落でナニがどうなるやら予測もつかない。」といってられます。 総選挙をやっている間に、緊急事態が起こり、対処するために法律を作らなければならなくなったとします。すると憲法第5…

祝 原油価格低下

「8月は原油輸入減少、価格は最高」で、原油価格が下がるのは10月になるだろうと書いたのですが、1月早く9月に下がりました。1リットル当たり9.7円の値下がりです。 最近はさらに原油がドル建てで値下がりし、円高になっていますので、今後さらに値…

ねんきん特別便 その7 若い人はいいな。

最近、ブログを読んでいると、「私の年金記録には問題がなかった」という方が増えています。 例えば、「「舛添さんからお手紙ついた♪」 じーっ・・・ 間違うてるとこなし! パーフェクトです って、こんなもん間違われたら困ると思う一方で 間違いがないのは…

金融危機対処法 その2

(追記あり) 「金融危機対処法」で取り上げたさまざまな政策をアメリカA国がとった結果、アメリカの短期金利は少しだけ落ち着いてきました。今週1週間の金利の動きはこういう具合です。 (10月21日、22,23、24、25日追記あり。) アメリカ金…

夕張市 の人口 2008年8月

「夕張市 の人口 2008年8月」も人口は減り続けています。減り方は小さくなってきています。 夕張市の人口(人)17年18年19年20年増減1月13,79813,38012,79812,169△6292月13,77713,35012,7701…

市場で金融危機は解決できるか

「金融危機対処法」に関連して。 A国は市場機能を誇っている国です。 興味があるのは、金融危機に陥ったとき、市場メカニズムが働いて、中央銀行、国の介入や資金投入なしに問題を解決できるかどうかです。 流動性危機が起こっても「いくらでもいいから金利…

金融危機対処法

(2008年10月7日、10日に追加修正しました。) 現在のような金融危機がA国、E共同体で起こったときにどうすればよいか、A国、E共同体、J国の対応を考えてみました。 1 流動性危機の時にとにかく緊急にやらなければいけないこと:不安感の除去・・…

4,300万件

「4,500万件」の続きです。(http://www.sia.go.jp/top/kaikaku/kiroku/pdf/mitougou._zentai.pdf)。 平成20年8月29日には、4,344万件(番号)まで減っています。前回の発表に比べると132万件(番号)の減です。このうちには「脱退手当金」な…

もっと需要を!

「「輸入原材料価格の高騰にどう対応すべきか?」について」の続きです。 たとえ、経済産業省が経団連に対して行政指導を行っても賃金が上がる訳がないと思われますし、「労働者の使用者に対する賃金交渉力を高める制度改革」が何なのか分からないとなると、…

8月は原油輸入減少、価格は最高

「7月は原油輸入横ばい、価格は最高」で、「8月にはドル建てでも前月に比べ値下がりしているので、少しは前年同月比で見た上昇率は下がると思います。」と書いたのですが外れました。69.9%上昇です。 価格も1リットル当たり91.9円で過去最高更新…

「輸入原材料価格の高騰にどう対応すべきか?」について

「輸入原材料価格の高騰にどう対応すべきか?」関連の話題です。 Hamchanさんが「小林慶一郎氏の労働市場規制強化論」で9月17日付日経経済教室の小林慶一郎氏の「スタグフレーション懸念と経済政策 供給サイドの対応軸に」を取り上げています。好意的に見…

「ねんきん特別便」 その6

ねえさんさんが「舛添さんからの手紙」で、こんなことを書かれています。だいぶ、誤解されているようです。事情がかなり込み入っているので、ほかにも誤解されている方が、大勢いらっしゃるようなので、少し解説を。 「結婚前に正社員として8年も働いてきた…