金融危機の後に その1

金融危機対処法 その2」について

で書いているように、短期の金融市場の流動性危機は何とか対応できているようです。

何とか対応できているという状態が続けば、次の問題、金融機関の資本が十分かどうかの問題に焦点が移っていきます。少し、長い目で、その先のA国の今後を考えているところです。思いつくままですが。

気の毒なことに、A国は両立困難な複数の目標を達成しなければなりません。

既に起こっていることで確実なことが二つあります。

事実1 国債の発行高はきわめて大きくなります。この国債には政府が保証した住宅金融会社の負債も含めています。

事実2 A国の官民の持つ対外資産は大幅に減りました。

事実1から

1から必然的に起こることは、二つあります。

1-1 政府の利払い額が大幅に増える。

1-2 借り換えるとき、誰かに買ってもらわなければならない。

 ここで、矛盾がひとつ生じます。

矛盾その1

 借り換えを円滑に進めるためには、金利を上げる必要がありますが、金利を上げれば利払い額が増加し、財政はさらに悪化します。財政赤字をまかなうためにさらに国債を発行すれば、さらに利払い額が増え、将来必要な借り換え額も増えていき、・・・・と悪循環が続きます。財政破綻となれば、一気にA国の通貨が下落します。

事実2から

外資産が減れば、対外資産から得られる所得が減ります。

A国は元々貿易収支は赤字です。利回りの高い対外資産を保有していたので、所得収支は黒字でした。それでも経常収支は赤字でした。これを資本の流入(資本収支の黒字)によって支えていたのです。

ここでも矛盾が発生します。

矛盾その2

所得収支が悪化すれば、資本流入額を増やさなければなりません。しかし、資本流入が増えるということはA国の対外負債が増えるということです。負債が増えれば支払うべき利子、配当が増加します。つまり、所得収支がさらに悪化するのです。まして、資本流入を増やすために利子を高くすると支払うべき利子は、さらに増加しますから、所得収支の悪化幅は、さらに大きくなってしまいます。しかも、利子が上昇すれば、必然的に既に発行されたA国の国債の価格が下落します。早めに売って・・・ということになれば資本流出です。

このような矛盾を克服して経済を安定させるための方策はただひとつです。

生産を拡大して所得を増やし、かつ、消費を抑制して、一方で貯蓄を増やし、他方で輸出を増やす。同時に、税収を増やす。

(続く)

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