金融

銀座は銀貨を作る組織

金子良事さんが、「『日本の賃金を歴史から考える』への質疑応答 その1 」で次のように書かれています。(このエントリーは力作です。) 江戸時代は金もありましたが、銀も大きいですからね。たとえば、路銀という古い言葉がありますが、これは今でいう旅費…

インフレターゲット政策の理論と予想 その1

インフレターゲット政策には、いかがわしさと分かりにくさが付きまといます。 いかがわししく感じられるのは、消費者の立場からはよくないと感じられるインフレをわざと起こそうとしている、あるいはバブルを起こそうとしているといった感じを持たれるからで…

銀行の税金 23年度決算

「銀行の税金 22年度中間決算」の続きです。 全国銀行協会が、全国銀行の23年度の決算(単体)を発表しました。 経常利益と税引き前当期利益は、2年度連続で3兆円を超えました。どちらもリーマンショック以前の19年度決算より多くなっています。 銀行の…

銀行の税金 22年度中間決算

「「銀行の税金 21年度中間決算」について」の続きです。 全国銀行協会から22年度中間決算の状況が発表されました。119行のベースです。21年度決算は120行だったので、下の表は少し接続が悪くなっています。 経常利益は2兆円に迫っています。税引き…

「銀行の税金 21年度中間決算」について

「銀行の税金 21年度中間決算」について の続きで21年度決算です。 経常利益は2兆円を超え、金融危機で大打撃を受け、1兆6千億円も赤字を出した20年度決算から4兆円の改善です。 銀行の利益(億円)経常利益純特別利益税引き前当期利益15年度5…

「ユーロ氏の肝臓病」について

「ユーロ氏の肝臓病」に 厭債害債さんの書かれている「ユーロ氏の肝臓病」というのはうまいたとえだと思います。 「それは問題国にとって債務の借り換えに何とかめどがついたと言うことでありあるいはそれらの債券を売りたい人がなんとかかんとか売れるとい…

銀行の税金 21年度中間決算

「銀行の税金 20年度中間決算」の続きで21年度中間決算です。 詳しい事はこちらをご覧ください。 http://www.zenginkyo.or.jp/stats/year2_01/details/cont_2009_interim.html 経常利益は1兆円には届きませんでしたが、金融危機で大打撃を受けた20年…

日本国債のようになり始めたアメリカ国債(?)

「アメリカ国債消化の主役交代」で、こんなことを書きました。 今後の需給バランスということでいえば、次のような要因が重要です まず、国債残高の増加を抑えることができるか? ☆外国が国債を買い続けるか? ★金融市場正常化に伴い通貨当局が、資金を回収…

取り付けに身構えている?アメリカ商業銀行

「それほどアニマルではなかったかもしれないアメリカ商業銀行」の続きです。 (注)ここで商業銀行というのは、U.S.-Chartered Commercial Banksのことです。 金融資産の中の現金とFRBへの準備預金(vault cash and reserve…

それほどアニマルではなかったかもしれないアメリカ商業銀行

「3ヶ月後の「あまりにもアニマルなアメリカ商業銀行」」で「アメリカの商業銀行の「アニマル・スピリット」に満ちた「レバレッジ経営」も、1-3月の循環表を見ると、修正されつつあるようです。」と書いたのですが、4-6月の資金循環表が発表されて、び…

アメリカ国債消化の主役交代

「3月までのアメリカ国債金利安定の理由」で、次のように書きました。 「通貨当局が外国中央銀行に貸していたドルを2,373億ドル回収して、家計から不動産担保の債権を証券化した債券(Agency-and Government-Sponsored-En…

ちょっと値下がりした原油

「1リットル40円を越えた原油価格」の続きです。 2009年8月の貿易統計が公表されました。今回は久しぶりの値下がりです。1リットル40.6円です。40円を越えたままですが、それでも前年同月比55.9%の値下がりです。半値以下なのですからよ…

平家の弁明

「金融経済の専門家の意識」にラスカルさんから、「TB」をいただきました。「個人的には、『世界的視野を持ち世界的行動を提案』することよりもまず、国内の失業の痛みをいかに緩和することができるかを考える議論に期待したいと考えている。」というご意…

金融経済の専門家の意識

労務屋さんが紹介されている「金融経済専門家の雇用回復策」を紹介されています。 紹介されているみなさんのご見解を読んで、物悲しい気分になってしまいました。お書きになっている方々が金融の専門家と経済の専門家なのか、金融経済の専門家なのか判然とし…

1リットル40円を越えた原油価格

「少しきな臭い原油市場」の続きです。 2009年7月の貿易統計が公表されました。今回も値上がりして、1リットル40円を越えました。それでも前年同月比52.7%の値下がりです。 「原油及び粗油」の輸入価格(1リットルあたり円)」月価格(円)上…

FRBの資金循環正常化政策

前回の続きです。 さて、現在アメリカのFRBは、資産担保証券の大量購入を続けています。資産担保証券の残高は、5,428億ドルもあります。年末までに1兆2,500億ドルに達するまで購入する予定です。現在の総資産は、19,917億ドルから今の水…

「少しきな臭い原油市場」の背景には

(2009年8月12日 修正、追加をしました。)(8月15日にも追加をしました。) 今回の日本の不況は、国内に原因のある普通のものではありません。稀にしかない、しかし、稀には必ず起こる世界の金融の混乱が、世界の実体経済の委縮を招き、それが日…

ミステリアスな Other

アメリカの資金循環表を読んでいると、興味が尽きません。「3ヶ月後の「あまりにもアニマルなアメリカ商業銀行」」に続いて、今回は Rest of world 直訳すると世界の残り。アメリカ以外の主体であって、アメリカと関係を持っているもので構成される部門です…

3ヶ月後の「あまりにもアニマルなアメリカ商業銀行」

「あまりにもアニマルなアメリカ商業銀行」で書いたアメリカの商業銀行の「アニマル・スピリット」に満ちた「レバレッジ経営」も、1-3月の循環表を見ると、修正されつつあるようです。 投資銀行が商業銀行に転換している影響もありますので、読み方に注意…

3月までのアメリカ国債金利安定の理由

厭債害債さんが「NY Fedダドレー総裁のインタビュー」で、次のように紹介されています。 どのような状況や条件で連銀が国債買い切りの増額が可能かという質問に対しては、さまざまな状況を総合的に判断して必要性を判断するといういわば当然の回答です。緩和…

あまりにもアニマルなアメリカ商業銀行

ラスカルさんが「「もっと需要を、そしてもっとレバレッジを」と訴えられています。 「昨年9月末の金融危機と、それによって深刻化する今回の不況という一連の経済事象について、経済書の世界でも事実関係の整理がなされつつあります。」ということなのです…

「アメリカの国債消化は問題ない(はず)」の第一回検証

2008年第4四半期のアメリカの資金循環表が発表されました。「アメリカの国債消化は問題ない(はず)」で書いた次の予測の第1回の検証を行います。太字が前回書いたものです。 公的資金投入にともなう資金の流れを追っていきましょう。 まず、政府が国…

経常収支の大改善

日本の経常収支は改善しました。万歳三唱・・・・というわけには行きません。改善の中身が良くないのです。 日本の経常収支は赤字にすべきです。中国と日本が大幅な貿易黒字、日本はそれに加えて所得収支も大幅な黒字だったということは、日本が世界中、特に…

日米株価指数比較 2008年

アメリカの代表的な株価指数であるダウジョーンズ工業30種と日経225を比べてみると、金融危機の震源地であるアメリカのほうが株価の下落率が小さいという不思議な結果が出ます。 これは数字のマジックです。円がドルに対して切上がっていますから、日経…

基軸通貨(国)の条件

Baatarismさんが、基軸通貨の条件が「基軸通貨や決済通貨がどのようにして選ばれるかというのは、どうもよく分からないんですよね。単純に債権国であれば良いというわけでもなさそうだし、軍事や外交との関係もあるようなないような。」と書いてお…

マネーのトラックを変えよう

今朝(2008年11月22日)の日経朝刊に、丸紅・大阪ガスがアブダビの発電事業に出資するという記事が載っていました。 2011年を目処にアブダビで出力110万キロワットの発電所を作るのだそうです。運営期間は20年とされています。2000億円…

アメリカの国債消化は問題ない(はず)

「金融危機対処法」で書いた「公的資金の投入」をアメリカが実施しつつあります。他にも対策を打ちつつあります。 アメリカが、金融機関への公的資金の投入などのため大量に国債を発行する予定であす。この国債の消化を心配して、日本がこれを買うべきだとい…

金融危機の後に その3

さて、A国が「金融危機の後に その2」で書いたような政策をとって、大変身を遂げるとどんな国になるのでしょう? 輸出主導で生産を拡大し、消費せずに貯蓄に励む国です。 これって、心当たりがありませんか? そう、J国なのです。A国が今後モデルとすべ…

金融危機の後に その2

「金融危機の後に その1」で書いた 生産を拡大して所得を増やし、かつ、消費を抑制して、一方で貯蓄を増やし、他方で輸出を増やす。同時に、税収を増やす。 という提案が有効である理由を説明しておきます。 1 国民が貯蓄を増やせば、国債の購入(家計がM…

金融危機の後に その1

「金融危機対処法 その2」について で書いているように、短期の金融市場の流動性危機は何とか対応できているようです。 何とか対応できているという状態が続けば、次の問題、金融機関の資本が十分かどうかの問題に焦点が移っていきます。少し、長い目で、そ…