平家の弁明

金融経済の専門家の意識」にラスカルさんから、「TB」をいただきました。「個人的には、『世界的視野を持ち世界的行動を提案』することよりもまず、国内の失業の痛みをいかに緩和することができるかを考える議論に期待したいと考えている。」というご意見です。

少し弁明をしたいと思います。

私は世界経済が低成長に陥ることが解決策であると考えてはいません。むしろ、世界の生産、所得、雇用のサイクルに必要十分なマネーが供給されて、世界全体の生産、所得、雇用が拡大することを望んでいます。

そして、ラスカルさんが指摘されているように、「世界経済が縮小への道を歩むのであれば、我が国の輸出産業、特に製造業の需要の回復は望めない。」という点には完全に同意します。

「雇用情勢の厳しさを緩和するため、内需産業(特に、サービス業)の労働需要に頼る必要が生じ、マッチング機能を高めるためのさまざまな積極的労働市場政策が必要となるだろう。」というご意見に異論があるわけでもありません。

しかし、我が国のように製造業が輸出依存体質になっているとき、このような政策の効果は限定的で、雇用情勢はほとんど緩和されないと思います。自動車作りをしていた労働者が、サービス業に簡単に転換できるわけがありません。生産量の落ち込みを考えれば、量的にも無理です。

長期的に内需を振興することに反対はしませんが、輸出の回復なしでは景気の回復はあり得ません。そして輸出の回復のためには世界経済の回復が必要です。円安による輸出の復活政策=近隣窮乏化政策です。欧米の金融システムが脆弱になっているとき、円安による輸出攻勢をかけ、溺れかけている国の浮き輪に穴をあけていいとは思いません。そんなことをして相手国の国際収支が悪化し、世界的な金融不安が再燃したらどうするのですか?日本の労働市場どうなるんですか?

世界経済が回復するためには、日本の金融機関の能力を生かして、むしろ、世界の生産、所得、雇用のサイクルに必要十分なマネーが供給し、世界全体の生産、所得、雇用を拡大すべきだと思います。円高も防止できます。そうすることによってのみ、日本の輸出を復活させ、日本の雇用情勢を改善することができると考えています。

(欧米では、マネーの供給が増えているにもかかわらず、このサイクルにマネーが流れず、金融資産や実物資産の交換のサイクルにマネーが流れ込み、株や金にミニバブルを引き起こしているように思えます。この金融資産には日本の円も含まれます。つまり、円高です。)

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