子ども手当の所得制限
「子ども手当 その3」を書いてから4年半。民主党が政権をとりました。と言っても単独政権ではなく、連立政権です。こども手当に所得制限をかけるかどうか、連立与党内で議論になっているようです。
所得制限をかけるためには、すべての支給対象者の所得を調べなければなりません。制限額が高くても、低くても全員調べなければならないのは同じです。
このためのご本人、役所の事務負担、コストは所得制限の額にかかわらず一定でしょう。
では、誰の所得を基準とするかといえば、世帯でしょう。個人の基準に400万円という線を引いたとします。共稼ぎで夫、300万円、妻、200万円なら支給するが、夫、400万円、妻100万円なら支給しないというのは無理があります。
で、いま議論になっているのは1,000万円らしいです。そこで厚生労働省の国民生活基礎調査(平成19年)で、「児童」のいる世帯の所得の分布を調べてみました。こうなります。
1,000万円未満 83%
1,000万円以上 17%
注意がいくつか必要です。
1,000万円以上の世帯のうち世帯主が60歳以上がかなりあります。三世代世帯でしょう。同居しているおじいちゃん、おばあちゃんの所得まで含めて制限するとは言えないでしょう。
これを除くと1,000万円以上は14%です。親の所得に限定するとさらに減ると思われます。
二番目が、「児童」の範囲です。この調査では未婚の18歳未満を「児童」と読んでいます。15歳までにするとこの率は下がるでしょう。子供の年齢が高い≒親の年齢が高い≒親の所得が高いとなっているからです。
最後に世帯に子供が一人とは限りません。どちらかといえば、所得の低い世帯で子供の数が多いような気がします。
1,000万円の所得制限を付けた場合、支出がどれぐらい減るのかよくわかりません。
低所得層から高所得層への所得再配分はおかしいということであれば、所得制限をかけるより、所得税、地方税をかけ低率の源泉徴収をするほうが簡単でしょう。
大きな所得再配分と小さな政府=公務員の数の少ない政府、国民の事務負担の少ない政府を両立させるためには、制度を簡素化するほかありません。
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