2013-01-01から1年間の記事一覧

大人の見識

水口洋介さんが、「大人の見識 安重根をめぐる日韓の応酬について」(http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2013/11/post-82b9.html)で、次のように書かれています。 韓国が安重根の石碑を中国のハルピンに設置することを要請したことに対し…

スウェーデンの雇用保護法

スウェーデンの雇用保護法の一部の仮訳です。 使用者による雇用終了の通告 第7条 第1項 使用者による雇用終了の通告は客観的な基礎に基づかなければならない。 第2項 使用者に対してその事業において他の仕事を被用者に提供すること要求することが合理的…

CX800さんへのお答え

「「国の実質的な借金は減っている?」について」にCX800さんから頂いたコメントにお答えします。 >国の実質的な借金が無くなるように見えるのは、無制限の金融緩和を続けていられる間だけなのである。 というのは厳密には間違いだと思います。 日銀が国債…

「国の実質的な借金は減っている?」について

「国の実質的な借金は減っている?」は、非常に面白い考察であるが、いくつか同意できない点がある。私の誤解かもしれないので、コメント欄への書き込みとダブルところがあるが、私の考えを述べ、批判を仰ぎたい。 取引の流れとそれに伴う貸借対照表の変化を…

来春の賃上げを考える その6

「来春の賃上げを考える その5」に少しだけ補足をしておきたい。 雇用、平均賃金と賃金収入、生活水準、消費の関係である。 今、賃金が40万円と60万円の労働者がいるとする。平均賃金は50万円、賃金収入の和は100万円である。消費の総額に影響するのは賃金…

来春の賃上げを考える その5

「来春の賃上げを考える その4」で予告した通り、2013年第二四半期の状況を検討します。 賃金、雇用、賃金収入の状況(対前年同期比%)項目フルタイム労働者パートタイム労働者合計常用雇用0.02.70.7現金給与総額0.90.10.3所定内給与0…

来春の賃上げを考える その4

「来春の賃上げを考える その3」に続いて、5年後の2013年4-6月期までにどこまで回復したかを見てみます。 下の表を見る限り、雇用は回復し、賃金はまだ回復していません。問題は賃金だということになりそうですが、果たしてそうでしょうか? 常用労働者計…

来春の賃上げを考える その3

今回は、「来春の賃上げを考える その2」で予告した通り、2008年第二四半期の状況を検討します。 賃金、雇用、賃金収入の状況(対前年同期比%)項目フルタイム労働者パートタイム労働者合計常用雇用2.23.62.5現金給与総額0.30.40.0所定…

来春の賃上げを考える その2

「来春の賃上げを考える その1」の続きです。 6年後の2008年4-6月期までにどのような変化があったかを見てみます。この時期の回復が、なぜ「実感なき回復」と呼ばれていたのでしょうか? 下の表を見る限り、ほとんどの項目は改善しています。問題があるのは…

来春の賃上げを考える その1

来春の賃上げについて、考えてみたい。 迂遠であるが、小泉政権時代の実感なき成長の話から始めたい。 スタートラインとして、2002年の4-6月期の状況を、厚生労働省の毎月勤労統計で確認しよう。 賃金、雇用、賃金収入の状況(対前年同期比%)項目フルタイ…

「政治思想の対立軸を考える。」再考その1

参議院選挙後、「政治思想の対立軸を考える。その1」で書いた問題について、時々考えています。もう少し、理論的に考えてみたい。 政治思想の一番基礎にあるのは、人間観でしょう。2番目なのか3番目なのか、順序が付けにくいのですが、社会における資源、資…

「二院制とリスク管理」について

厭債害債さんが「二院制とリスク管理」次のような提案をされています。 ワタクシなりの代替案は、どちらかというと貴族院型に近いのですが、「議会」ではなく純粋なチェック機関を設置するというものです。そのメンバーは一定の(かなり難しい)資格試験をパ…

銀行の税金増加 24年度決算

全国銀行協会が、全国銀行の24年度の決算(単体)を発表しました。税金の支払額は急増しています。 経常利益と税引き前当期利益は、3年度連続で3兆円を超え、4兆円に迫っています。 銀行の利益(億円)経常利益純特別利益税引き前当期利益15年度5,1…

少し、温まり始めた労働市場 その3

「少し、温まり始めた(女性の)労働市場 その2 学卒未就職者」から時間がたってしまいましたが。 フルタイム労働者とパートタイム労働者に分けて、賃金と雇用が前年同月に比べてどうなっているのかを調べてみました。○は増加、上昇、●は減少、低下を表しま…

少し、温まり始めた(女性の)労働市場 その2 学卒未就職者

「少し、温まり始めた労働市場 その1 パートタイム労働者の賃金率」に続いて、今回は学卒労働市場を取り上げます。 総務省統計局の労働力調査には求人の理由別の失業者というものがあります。この中に学卒未就職というのがあります。学校は出たけれど、就職…

少し、温まり始めた労働市場 その1 パートタイム労働者の賃金率

労働市場は、景気に対して少し遅れて反応します。その中で比較的敏感に反応するのがパートタイム労働市場です。市場といえば価格と量が決定されるところですが、今回は価格について取り上げます。 パートタイム労働者の賃金率を所定内給与÷所定内労働時間で…

「24年度の所得税と消費税」について

4月分の税収が公表されましたので、「24年度の所得税と消費税」の続きです。 まず、所得税から。 所得税額(100万円)23年度当月23年度累計24年度当月24年度累計3月429,48811,456,509540,52411,734,9054月1,957…

「基軸通貨国によるゼロ金利強制」について

「基軸通貨国によるゼロ金利強制」というエントリーを4年前に書きました。 このエントリーではカバーなし金利平価説に基づいて基軸通貨国がゼロ金利政策をとると、非基軸通貨国は基軸通貨に対する為替レートの上昇を甘受するか、自国もゼロ金利政策をとるか…

設備投資を焦点とすべきではない

2013年1-3月期DGP一次速報が発表され、いろいろ評論が出ている。その中で有力なのが今後の設備投資が焦点であるという見解であり、その基礎には「早く財政出動をやめなければ」、という思いがあり、その延長には、「何とかして早く設備投資を増やささな…

「アベノミクスと財政再建」の補足3 外貨準備

「アベノミクスと財政再建」 で書いた効果に加えて、もう一つ大きな要素があります。国の持つ外貨準備の円でみた場合の評価益です。 外貨準備には様々な構成要素がありますが、中心は外貨で4月末で1兆1,885億ドルあります。この外貨を買うための円を調達す…

続小野理論 最終回

「続小野理論 その9」の続きです。今回が最終回です。 Ⅶ 不況定常状態 1 流動性の罠 実質残高(貨幣)の限界効用に下限β>0が存在するとしよう。実質で測った貨幣をいくら持っていても追加的な貨幣から得られる効用が一定水準より下がらないということを…

続小野理論 その9

「続小野理論 その8」の続きです。 Ⅵ 金融資産が存在する経済での完全雇用一般均衡 金融資産が存在する経済で、もし、一般均衡つまりすべての市場で均衡が達成されるとしたら、そこでは実物量、賃金、一般物価水準がどのような値に決まるかを考えよう。第5…

続小野理論 その8

「続小野理論 その7」の続きです。 Ⅴ 市場での調整 1 ストック(≡金融資産)市場の調整 このモデルでは実物資産(土地や実物資本財)を想定していないので、ストックは貨幣と株式の二つである。この二つの市場は、調整速度が速く、常に需給が均衡すると仮…

続小野理論 その7

「続小野理論 その6」の続きです。 Ⅳ 企業の最適化行動と企業価値 このモデルでは、企業は利潤最大化を目標として行動する。企業は労働を投入して、財を生産し、市場に供給するものと捉えられる。企業の利益はすべて配当として家計に分配される。 企業の労…

24年度の所得税と消費税

「「アベノミクスと財政再建」の補足2 24年度の法人税」で取り上げた法人税と並んで重要な税が所得税と消費税です。3月までの実績を見てみます。 まず、所得税から。 所得税額(100万円)23年度当月23年度累計24年度当月24年度累計3月429,4881…

「アベノミクスと財政再建」の補足2 24年度の法人税

(2013年5月1日3月分を追加しました) 「アベノミクスと財政再建」で、24年度の税収には次の三つの効果が発生しそうだということを書きました。 (1)上場株の価格上昇の効果 (2)債権の価格上昇の効果 (3)円安により、企業の持つ外貨建て資産の値上が…

「アベノミクスと財政再建」の補足

「アベノミクスと財政再建」 に少し補足をしておきます。 2014年1月1日から、有価証券の譲渡所得に対する税率が10%から20%に引き上げられます(http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1463.htm)。 個人が有価証券を持っていて、その有価証券が値上が…

アベノミクスと財政再建

アベノミクス(ここでは安倍政権の取っている経済政策という意味で使います)と財政再建の関係を考えてみたい。 財政を再建するための方法には、大きく分けて支出を減らす、歳入を増やすという二つの方法があり、歳入を増やす方法としては、課税ベースを成長…

インフレターゲット政策が失敗するとすれば

「インフレターゲット政策の理論と予想 その2」でアウトラインを示したインフレターゲット政策が失敗するとすれば、その原因として何が考えられるでしょうか? 企業や家計がインフレが起こると予想しない場合には、インフレターゲット政策は失敗します。 現…

企業の閉鎖の場合には解雇を認めるべきか?

「整理解雇は禁止されるべきである」では、次のような問題を取り扱いました。 通常の生産関数を前提として、労働の限界生産性×生産物の価格=名目賃金という条件、企業の利潤最大化の条件を満たす労働者数をN人とする。企業が当初、この条件に合うようにN人…