来春の賃上げを考える その1

来春の賃上げについて、考えてみたい。 迂遠であるが、小泉政権時代の実感なき成長の話から始めたい。 スタートラインとして、2002年の4-6月期の状況を、厚生労働省の毎月勤労統計で確認しよう。 賃金、雇用、賃金収入の状況(対前年同期比%)
項目フルタイム労働者パートタイム労働者合計
常用雇用-2.76.7-0.9
現金給与総額-1.9-3.0-3.2
所定内給与-0.8-3.0-2.1
所定内労働時間-3.3
1時間当たり所定内給与0.3
賃金収入-4.63.7-4.1
フルタイム労働者の雇用は大幅に減っていた。パートタイム労働者の雇用はさらに大幅に増えているが、合計すると小幅であるが減っていた。極端に単純化すると、職を失ったフルタイム労働者の一分がパートタイムの職に就き、パートタイムの職すらなくて仕事につけていないという状況であった。 フルタイム労働者もパートタイム労働者も、現金給与総額は減っていた。賃金水準の低いパートタイム労働者の割合が増えていたため、全体の減少率は、大きくなっていた。所定内給与についても同じ動きであった。 少し注意が必要なのは、パートタイム労働者の所定内労働時間で3.3%減っていた。これを考慮すると、パートタイムろうづしゃの1時間当たり所定内給与は小幅ではあるが、増えていたことになる。一つの可能性として、質の高い元フルタイム労働者がパートタイム労働についたことが考えられるが、確証はない。 労働者数と一人当たり賃金を掛け合わせて、労働者全員が受け取った賃金の総額、賃金収入を考えてみると、フルタイム労働者は大幅に減少していた。パートタイム労働者は大幅増加であったがフルタイムの減少をカバーする力はなく、合計するとやはり大幅な減少であった。当然、労働者全員の消費合計の減っていたはずである。 一言でいえば、ひどい状況であった。 では、リーマンショック前までに、どれだけ回復していたのだろうか?次回、これを検討したい。 人気blogランキングでは「社会科学」の27位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング