企業の閉鎖の場合には解雇を認めるべきか?

整理解雇は禁止されるべきである」では、次のような問題を取り扱いました。

通常の生産関数を前提として、労働の限界生産性×生産物の価格=名目賃金という条件、企業の利潤最大化の条件を満たす労働者数をN人とする。企業が当初、この条件に合うようにN人の労働者を雇用していたとする。

その後、不況になり生産物の価格が下がったとする。このとき、名目賃金も比例的に下がれば、労働者がN人のままでも、依然として上の式で示された条件は満たされ、労働者を減らす必要はない。

しかし、名目賃金が下がらなければ、上の条件を満たす労働者数は減少する。これをM人としよう(N>M)。企業が利潤を最大化するためには、N-M人の労働者を整理しなければならない。

この時、社会的に最適な雇用の終了をもたらすルール―は何か?

この問題でN=<Mの場合はどう考えたらいいでしょうか?まだ明確な答えは得られていません。アイディアだけ書いておきます。

労働者がゼロであっても、労働の限界生産性×生産物の価格=名目賃金とならないのけですから、利益を追求する企業の立場からいえば、企業を閉鎖して労働者を全員解雇したいと考えるでしょう。このような場合には企業に解雇を認めるべきでしょうか?

問題は、名目賃金をある程度下げた場合にはこの条件が満たされることがあることです。名目賃金を徐々に下げていくと、労働者数が変わらず、労働の限界生産性が一定でもこの式に近づいていきます。さらに、名目賃金が下がっていくと外部賃金のほうが高い労働者が出てきます。その労働者が辞めていくと、労働者数が減り、その結果労働生産性が上昇していきます。徐々に賃金を下げていき、この二つの効果が組み合わさって、上の式の均衡が回復される時の賃金と労働者数が社会的に最適です。

この場合、何らかの形で賃金の下方硬直性を消去する必要が出てきます。国が関与して賃金を引き下げるという方法もあり得ますが、果たして国が適切な賃金水準を見つけられるか、大いに疑問です。何とか社旗的なルールの下で労使が自分の利益を追求した結果として、この賃金を設定するようにしたいのです。

どのようなルールを設定すれば、企業と労働者に、このような行動を取らせることができるのか、まだ答えを見つけていません。下方硬直性が、労働協約、労働契約、就業規則から生じているならば、企業が何らかの代償を支払って、労働者の合意を取り付けるという方法が考えられます。一つの可能性としては、このような場合には解雇を認め、事業を再開するときには解雇した労働者を優先的に採用しなければならないというルールです。

これを手掛かりに、適切なルールを探してみたいと考えています。

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