来春の賃上げを考える その6

来春の賃上げを考える その5」に少しだけ補足をしておきたい。

雇用、平均賃金と賃金収入、生活水準、消費の関係である。

今、賃金が40万円と60万円の労働者がいるとする。平均賃金は50万円、賃金収入の和は100万円である。消費の総額に影響するのは賃金の総額である。

ここで、失業していた若者、あるいは高齢者が賃金20万円で雇われたとする。平均賃金は40万円に下がるが、賃金収入の和は120万円に増える。

平均賃金は下がっているが、何か問題はあるだろうか。

①誰の賃金も下がってはいない。これまでも働いていた個人は何の問題もないはずだ。失業から脱却できた労働者は、もちろん改善している。

②賃金収入の和は増加していて、収入は増えているし、消費も増えるだろう。マクロ的にも問題はない。

つまり、雇用が拡大しつつ、賃金収入の和が増えるのであれば、平均賃金が低下しても気にすることはないのだ。雇用が増えないまま、平均賃金が減る場合とは区別する必要がある。

消費税の引き上げとの関連でいえば、平均賃金が物価上昇分だけ上がらなければ、労働者の生活水準が下がったり、消費が減ったりするわけではない。賃金収入の伸びが問題なのだ。まずは、雇用の増加率と平均賃金の上昇率の和が物価上昇を上回ることを目指すべきだろう。もちろん、賃金の伸びだけで物価上昇分を上回り、さらに雇用が増えれば申し分ないのだが。

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