全国銀行協会が、全国銀行の24年度の決算(単体)を発表しました。税金の支払額は急増しています。
経常利益と税引き前当期利益は、3年度連続で3兆円を超え、4兆円に迫っています。
銀行の利益(億円) | 経常利益 | 純特別利益 | 税引き前当期利益 |
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15年度 | 5,126 | 4,795 | 9,921 |
16年度 | 19,017 | 7,018 | 26,034 |
17年度 | 47,504 | 11,782 | 59,286 |
18年度 | 43,115 | 4,277 | 47,393 |
19年度 | 34,497 | △488 | 34,009 |
20年度 | △16,096 | 3,119 | △12,977 |
21年度 | 24,457 | 1,057 | 25,514 |
22年度 | 32,611 | 542 | 33,153 |
23年度 | 38,173 | △1,126 | 37,047 |
24年度 | 39,833 | △458 | 39,375 |
法人税、住民税、事業税は、40%以上増加し7千億円を超えました。
法人税等調整額は大幅に減少し、2千億円を割り込みました。税引き前利益が増えているのに調整額が減ったのは、取り崩すべき
繰り延べ税金資産が減っていたからです。
当期純利益は、3兆円を超えました。ただ、
法人税などと調整額を合わせた額は、23年度には1兆円を超えていたのですが、今回は割り込みました。減税の効果でしょう。これがなければ
法人税、住民税、事業税は、1兆円を超えていたのではないかと思います。もったいない。
利益・税など(億円) | 法人税など(A) | 調整額(B) | 当期純利益 | 仮定(A)+(B) |
---|
15年度 | 1,636 | 16,083 | -7,799 | 17,719 |
16年度 | 1,889 | 11,203 | 12,941 | 13,092 |
17年度 | 3,008 | 14,240 | 42,037 | 17,248 |
18年度 | 4,968 | 8,439 | 33,980 | 13,407 |
19年度 | 5,427 | 7,335 | 21,246 | 12,782 |
20年度 | 3,415 | 3,564 | △19,956 | 6,975 |
21年度 | 3,648 | 3,750 | 18,116 | 7,398 |
22年度 | 3,697 | 4,371 | 25,084 | 8,068 |
23年度 | 5,231 | 7,003 | 24,812 | 12,234 |
24年度 | 7,475 | 1,587 | 30,311 | 9,062 |
繰り延べ税金資産は、大幅に減りこの表の範囲では最低になりました。
自己資本に占める割合も2.1%と最低です。フローで利益が減ってしまうと、ストックである
繰り延べ税金資産も減ってしまいます。ある意味で不安定な資産です。これがなくなっているというのは、大いに歓迎すべき状況です。
金融危機以来の長い長い財務改善の道のり、途中で
リーマンショックがあり、後戻りがありましたが、もようやく終わりに近づいたようです。
今後は税収も安定するでしょう。また、企業が銀行の財務が悪くなって、
貸しはがしをしてくるのではないかと心配する必要もなくなってきています。需要さえあれば、投資をする環境が整ってきています。
銀行の資産(億円) | 繰延税金資産 | 資本 | 割合 |
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15年度 | - | 289,611 | - |
16年度 | 58,600 | 314,358 | 18.6% |
17年度 | 32,337 | 373,072 | 8.7% |
18年度 | 24,786 | 400,348 | 6.2% |
19年度 | 39,114 | 348,338 | 11.2% |
20年度 | 50,554 | 289,676 | 17.5% |
21年度 | 31,614 | 384,279 | 8.2% |
22年度 | 31,510 | 396,601 | 7.9% |
23年度 | 21,525 | 421,121 | 5.1% |
24年度 | 9,819 | 459,245 | 2.1% |
(注)ここでいう
繰り延べ税金資産は、
全国銀行協会が発表している「全国銀行総合財務諸表」の資産の部の
繰り延べ税金資産です。
「
銀行の税金 23年度決算」で、「早く
繰り延べ税金資産がなくなり、さらに、税法上の繰り越し損失も解消されて、銀行の納税額がもっと増えることが、
財政再建のためにも必要です。そのためには日本経済の安定を維持することが必要です。24年度に世界経済で混乱が起こらないことを祈ります。」と書きました。24年度の欧州の経済は不安定でしたが、大混乱には至らず、アメリカの景気は回復しました。
今回の教訓は次の通りです。
1 長期にわたる不況の後に税収を回復させようと思ったら、企業の財務体質が改善するのをじっくり待つほかはないこと
2 財務体質の改善がある段階まで進むと、利益の伸び以上に税収が増えること
3 その間、経済を安定させる必要があること
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