金融危機の後に その3

さて、A国が「金融危機の後に その2」で書いたような政策をとって、大変身を遂げるとどんな国になるのでしょう? 輸出主導で生産を拡大し、消費せずに貯蓄に励む国です。 これって、心当たりがありませんか? そう、J国なのです。A国が今後モデルとすべきはJ国です。J国目指して大変身です。 まあ、それが実行できるか、それはA国の努力とともにJ国の努力にもかかっています。 なぜでしょう?A国が貿易収支の赤字を減らすなら、どこかが貿易収支の黒字を減らすか、赤字をふやさなくてはなりません。A国との貿易で大幅な黒字を出してきたJ国が黒字を減らす番です。生産を落とさないとすると、消費を増やすのが一番確実です。消費を増やしてA国からの輸入を増やすか、輸出を減らすのが、望ましい行動です。ものの輸入を増やす変わりにA国へ観光旅行、リゾート滞在するのもいいです。 そのためには、A国の通貨はコントロール可能な範囲でJ国の通貨に対して安くなる必要があります。これをA国へ輸出がしにくくなって困る、A国から観光客が来なくなるから困る、国内旅行からA国旅行に切り替わってしまうから困るというような感覚を持ってはいけません。 A国の経済の崩壊を防ぐために、J国がやらなければならないことはほかにもあります。通貨防衛のためにA国は短期、長期の資本を引きつける必要があります。 短期の資本を引きつけるには金利を相対的に高くしなければなりません。J国が短期金利を低く抑える必要があります。 ついでに、A国が発行する国債も買う必要があるかも知れません。私は、あまり乗り気になれません。というのは、「外国への投資? その2」で書いたのとは逆に貿易で黒字を出している国から投資による収益も得ることになるからです。 さらに、A国の通貨が急激に下がるときは、為替市場でA国通貨買い、J国通貨売りの介入をしなければならないかも知れません。効果があるかどうか分かりませんが。 私のお勧めは、J国が産油国ベトナム、マレーシア、インドネシアなどから原油を輸入して備蓄することです。まず、国債を発行して市場でJ国通貨を手に入れ、それを外国為替市場で売ってA国通貨を買います。これは為替市場での介入と同じ効果を持ちます。 そしてA国通貨で原油を輸入します。J国にA国通貨は残りません。 そして産油国では生産が拡大し、所得が生み出されます。A国が商品を売り込めば、A国の貿易収支が改善します。 世界の経済を改善するためには、生産拡大が必要です。資金が株や国債や預金に姿を変えつつ回っていくだけでは、生産は増えません。 金融市場でくるくる回っているだけのマネーを、実物市場、生産・流通の過程に戻さなければならないのです。いま、それができるのはJ国だけです。 ここをクリック、お願いします。 人気blogランキング 人気blogランキングでは「社会科学」では39位でした。