市場で金融危機は解決できるか

金融危機対処法」に関連して。

A国は市場機能を誇っている国です。

興味があるのは、金融危機に陥ったとき、市場メカニズムが働いて、中央銀行、国の介入や資金投入なしに問題を解決できるかどうかです。

流動性危機が起こっても「いくらでもいいから金利を高くすれば調達できるはずだ」という主張は聞いたことがありません。こういう場合に中央銀行が貸し出しを行う必要があるということについては、コンセンサスがあります。この貸し出しは一時的なものなので、これに対する抵抗は、さすがのA国でもないようです。

では、預金の保護はどうか。これは民間保険の成立する余地がありそうです。ただ、この保険、個別の契約でやると今回AIGが国の支援を仰ぐきっかけになったCDS(クレジット デフォルト スワップ)と全く同じ構造です。クレジットの種類が銀行の預金だというだけのことです。すると、預金保険を提供する保険会社がつぶれてしまわないか、つまりカウンターパーティーリスクが存在するのです。これを回避するために保険会社が再保険を掛け、再々保険を掛けとなっていくと、なにやら、連鎖の構造が。やはり、すっきり、絶対に支払い不能に陥らない国が参加することが不可欠であるような気がします。

次に、支払い能力不足への対応はどうか。

不良資産の買い取り。これは可能性がありますね。適切な値付けができるかどうか分かりませんが、思い切ってリスクを取って買いに出る勇気のある人がいるかもしれません。これはファンドだと破綻債権買い取り専門のファンドということになるのかもしれませんが。問題が二つあります。一つはそのような人の持つ資金が不良債権の額面に比べて少ないと買い取り価格が安く、買い取り額が少なすぎること。もう一つは、時期です。待てば待つほど債権価格が安くなる可能性が高いので、迅速な買い取りにならないおそれがあります。するとやはり自らリスクを取る仲買人として国が買い、それを再販売する方が良さそうです。

ただ、こういう債権を買い取るファンドが次々と作られると、国が買い取った債権が迅速、かつ適切な価格で転売され、国民の負担額がかくていされるかもしれません。

もう一つの資本金の投入はどうか。金融機関に公的資金が導入される前に、その金融機関の本来の価値を認識して買い取るという動きが出るか?これは脈がありそうです。現に優先株を買うなど投入している例もあります。ただ、完全に債務超過に陥っている場合は難しいでしょう。結局、損をすることに国の存在意義はあるということです。

将来、政府が買い取った不良債権、その担保を売り出すとき、これを適切に評価して買い取る動きが出るのかどうか?これはかなり可能性が高いと思います。

要約すると、いくら民間が活発に動いていても、中央銀行による流動性の供給、政府による預金保護、不良資産の迅速な買取、破綻している金融機関への資本注入は、必要ということです。

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