「
銀行の税金 19年度決算 」に引き続き、
全国銀行協会発表の20年度(単独)中間決算です(
http://www.zenginkyo.or.jp/stats/year2_01/details/cont_2008_interim.html)。
とても景気の悪い話です。
銀行の利益(億円) | 経常利益 | 純特別利益 | 税引き前当期利益 |
---|
15年度 | 5,126 | 4,795 | 9,921 |
16年度 | 19,017 | 7,018 | 26,034 |
17年度 | 47,504 | 11,782 | 59,286 |
18年度 | 43,115 | 4,277 | 47,393 |
19年度 | 34,497 | △488 | 34,009 |
19年度中間 | 13,462 | 876 | 18,512 |
20年度中間 | 4,173 | 2,608 | 6,781 |
純特別利益が出たものの経常利益が1兆円近く減り、税引前当期利益は1兆2千億円も減ってしまいました。
利益・税など(億円) | 法人税など(A) | 調整額(B) | 当期純利益 | 仮定(A)+(B) |
---|
15年度 | 1,636 | 16,083 | -7,799 | 17,719 |
16年度 | 1,889 | 11,203 | 12,941 | 13,092 |
17年度 | 3,008 | 14,240 | 42,037 | 17,248 |
18年度 | 4,968 | 8,439 | 33,980 | 13,407 |
19年度 | 5,427 | 7,335 | 21,246 | 12,782 |
19年度中間 | 3,223 | 3,102 | 12,186 | 6,325 |
20年度中間 | 2,280 | △323 | 4,824 | 2,603 |
税引前当期利益が減り、
法人税・住民税・事業税の納付額は943億円ほど減っています。せっかく
法人税等調整額が3千億円以上減ったのに、残念なことです。ただ、この調整額はマイナスになりました。
その結果、税引き後当期利益は、7,362億円ほど減っています。
銀行の資産(億円) | 繰延税金資産 | 資本 | 割合 |
---|
15年度 | - | 289,611 | - |
16年度 | 58,600 | 314,358 | 18.6% |
17年度 | 32,337 | 373,072 | 8.7% |
18年度 | 24,786 | 400,348 | 6.2% |
19年度 | 39,114 | 348,338 | 11.2 |
20年度中間 | 49,366 | 326,794 | 15.1% |
19年度の引き続き今回も
繰延税金資産が増加しました。半期で1兆円以上ですから、相当なハイペースです。資産に占める
繰り延べ税金資産の割合も、15.1%まで上がり、資産の質は劣化し続けています。最近、銀行が資本の充実に動き出しているのも当然でしょう。
(注)ここでいう
繰り延べ税金資産は、
全国銀行協会が発表している「全国銀行総合財務諸表」の資産の部の
繰り延べ税金資産ものです。
「
銀行の税金 19年度決算」で「20年度は、税金は減るのではないでしょうか。逆戻りです。
繰り延べ税金資産が増えたのに加えて、建設業、不動産業など不景気で倒産が増えていますし、利益も減りそうです。」と書きましたが、残念なことに当たってしまいました。
18年度決算のときには、「
繰り延べ税金資産がなくなり、さらに、税法上の繰り越し損失がなくなれば、銀行の納税額は急増するはずです。それまで、景気を維持し、銀行の傷がなるべく早く癒えるのを待つのが得策でしょう。というより、それ以外に銀行に早く税金を払わせる方法がありません。」と期待をこめて書いたのですが、景気の維持に失敗し、全球凍結になるかもしれない危機に突入してしまいました。当分の間、銀行からの税金には期待できません。
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