交易条件の改善

本石町日記の「中曽理事の雑感&原油安による交易条件改善」で、bank.of.japanさんが、次のように書かれている。(番号は平家が追加)

(1) 原油が着々と下がっている。良いことである。ただ、これで別にマクロ経済の先行きが明るくなるわけではない。真っ暗になるスピードが緩む程度であろう。

(2) この間の日銀展望リポートでは「国際商品市況の下落が続く場合には、交易条件の改善を通じて、国内民間需要を下支えし、成長率が上振れる要因となる」とのシナリオがアップサイドリスクの一つに挙げられていたが、まあそんなことはないでしょう。

(3) 交易条件は原油が高いときに比べると、改善はしているが、実際はこんな感じではないか。「収益環境は厳しい」→「原油高でメチャ厳しくなった」→「原油安でもとの厳しさに戻った」であろう。しかも、昨年来から景気悪化はどんどん進行しており、需要低迷に拍車がかかっている。原油安による恩恵は「焼け石に水」程度のような気がする。

(4) ガソリン価格は下がったとは言ってもほぼいってこい。元に価格が戻っただけで、別にそれで消費増やそうという人はいないと思うが。いるんですか?

(1)には同感。

(2)は、むしろ日銀展望リポートのほうが正しいのではないか。上振れはするでしょう。値下がりしない場合に比べれば。

(3)はおおむね賛成。しかし、原油安と円高による恩恵はかなり大きいと思う。

2008年の1月から9月までの「原油及び粗油」の輸入量は182,011千キロリットル。支払った額は13兆841億円。1リットル当たりの単価は73.6円。2007年の同じ時期を取ると単価は48.3円。もし単価の上昇がなければ支払額は8兆7,850億円で住んでいたことになる。差額は4兆6,162億円。これから単価がどう変わるか分からないけれど、元に戻れば、これぐらいの効果はある。

ちなみに、最近の貿易統計から計算した原油と粗油の単価は、「こちら」。今日の東京商品取引所の期近の原油は1リットル当たり32円37銭。

「焼け石に水」よりはましなのではないか。給付金のように将来の増税が伴うものではないのだから。「多勢に無勢」ぐらいが妥当なのでは。

(4)は東京で勤めている方の誤解があるような気がする。地方に行けば車がなければ殆ど生活できない。だからガソリンが高くなっても、簡単に乗るのを減らすわけにはいかない。ガソリン代が高くなった分だけ、他の消費を減らす。値段が元に戻れば、ガソリンの購入量を増やすことはなくても、他の消費は増えるのではないか。

どうしても生きていかなくてはならないので、私は楽観的になりたい。

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