ミクロ経済学

コンメンタール その2

「コンメンタール」の続きです。 「また不完備契約理論については、これも労働経済学では、転職すると企業内での教育投資の効果が発揮できなくなるような当該企業固有の投資、これを企業特殊的投資というんですが、これがあるから不完備契約になるという理論…

コンメンタール

濱口先生が「学界展望における福井論文の紹介とコメント」で、こう書かれています。学術雑誌での座談会の発言をそのまま転載したものなので、少々分かりにくいです。解説をして見ます。別に絡むつもりはありません。 「この不完備契約理論というのは、労働者…

市場の失敗 その2 量子力学

「市場の失敗 その1」その1で述べたように現実の労働市場は、はなはだ不完全な物でしかありません。 これに加えて労働サービスの提供者である労働者は意志を持っており、労働サービスは買い手である企業の自由にはなりません。多かれ少なかれ労働者の意志が…

市場の失敗 その1

濱口先生が「労働者と使用者は決して対等ではない」で、こんなことを書かれています。少し長いのですが、引用します。 『東洋経済』2月16日号(特集「雇用漂流」)に掲載された私のインタビュー記事を、次の号が発売されたので、ここにアップしておきます。…

厚生経済学の第一命題

自由主義経済を擁護する理論的な根拠として、「自由市場経済で実現する資源配分は『パレート最適』である。」という「厚生経済学の第一命題」があります。 この命題は、ひどく抽象的で分かりにくいと思います。この命題にたどり着くまで、ケネーあるいはアダ…

パレート最適

自由主義経済を擁護する理論的な根拠として、「自由市場経済で実現する資源配分はパレート最適である。」という。「厚生経済学の第一命題」があります。この重要な命題にパレート最適という概念が使われています。厚生経済学にとっては、非常に重要な概念で…

消費者主権

「消費者主権」という言葉には、事実判断としての意味合いと価値判断的な意味合いの両方があります。 事実判断としては、自由な市場機構のもとでは、最終的には消費者が資源配分の決定権を持っているという事実を意味します。この場合には、消費者の購買力が…

選好と効用関数

「労働供給の異時点間代替(intertemporal substitution)」で、効用関数を使ったので、少し説明を。 選好関係 ミクロ経済学の消費者の理論の基礎にあるのは選好です。これから効用関数が導かれます。 消費者(家計)は、二つの消…

労働供給の異時点間代替(intertemporal substitution)

効用関数の特定 t期の効用utは、消費(ct)と同時に余暇(1-lt)にも依存し、消費や余暇が増加すれば効用も増加するというのは、ごく一般的な効用関数です。この効用関数をさらに、次のように特定します。対数線形です。 ut=lnct+bln(1-l)t b>0 …