ニートは救われるか?
おとといの続きです。「ニート その5」で書いた「景気が回復し、労働市場の状況がよくなれば」無業者の問題は解決するといえるのでしょうか。
「半分正しい。」というのが私の答えです。
確かに景気が回復し求人が増えれば、特に、質のいい求人が増えれば、これから学校を出る若者は就職しやすくなり、実際にも就職するでしょう。たとえ、就職に対する意識が低くても、迷いがあっても企業の側が引っ張れば、かなりの若者は卒業後に就職すると思います。無業者の新たな発生は抑えられるでしょう。
「「これからの若者は仕事を見つけられるか?」 続報」でも書きましたが、景気の回復とともに、求人が増え、今春の学卒者の内定は増えています。
こんな調査があります。厚生労働省の「平成16年雇用管理調査」です。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/kanri/kanri04/06.html
表24を見て下さい。フリーターを採用した企業の4割は「人手が足りなかったから」と答えています。
既に、学校を卒業し無業者になっている若者も、景気が回復し、求人が増えればかなりの部分が「無業」から脱出できるはずです。
就業構造基本調査が行われたのは、2002年です。当時、30歳から34歳であった無業者は、現在、32、3歳から36,7歳になっています。時は残酷です。彼らは、もう学校を卒業したときの彼らではありません。まだ若いとはいえ、彼らより若い人たちが大勢います。採用する側は、彼らより若い労働者を選びがちです。少し景気が回復したからといって、彼らがすぐに就職しできるようになるかどうかは疑問です。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/kanri/kanri04/06.html
表20を見て下さい。企業の半分程度はフリーターを採用する場合に年齢を30歳未満に制限しています。時の流れは残酷です。
特に、企業の三分の一程度は正社員としての採用に当たってフリーター経験をマイナスに評価しています。無業やパートタイム、アルバイトを中心としてきた若者は企業から高い評価を受けられません。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/kanri/kanri04/06.html
表24を見て下さい。
また、たとえ若くとも、不景気の間に荒っぽい扱いを受け、自信を失ったり、臆病になったり、迷いの中に落ち込んだり、病気になってしまっていると、就職は困難です。http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/shurou/chukan.pdf
図5を見て下さい。「非求職型」は、合理的な計算をして「いい求人がないからしばらく待とう」と思っている若者(経済学では「求職意欲喪失者」という表現が使われます。)ばかりではありません。
景気を回復させることは、本当に重要です。他の対策を取っても、求人が増えない限り、その効果は限定的でしょう。しかし、景気がある程度回復して、求人が増えるだけでは、「無業者」の多くが救われるとはならないような気がします。これが「半分正しい。」と、私が考える理由です。
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