ニート その3

若年無業者の定義の「2 配偶者のいない独身者」には、大きな問題があります。

極端な例を出します。「若年無業者」同士が結婚すると、その瞬間に二人とも「若年無業者」ではなくなってしまいます。仕事についても所得についても、これまでと同じで、結婚したからと言って何も変わっていなくてもです。

このような一見不合理に見える奇妙な取り扱いにも、それなりの理由があります。専業主婦(主夫)であることに満足し、生活にも困っていない専業主婦(主夫)をどう捉えるかです。無業者か、そうではないのか。このような人たちは収入を伴う仕事はしていませんから、無業者といえば無業者なのですが、生計(所得)の面でも仕事の面でも、特に問題があるわけではありません。これらを「若年無業者」に加えると「若年無業者」の中に全く問題がない人が含まれることになります。問題のあるグループの数を知りたくて計算しているのですから、これは困ります。この事情は理解できます。

しかし、この問題を解決するために配偶者のいる人を全員はずすというのは少し乱暴です。今度は、専業主婦(主夫)であることに満足していない専業主婦(主夫)、生計(所得)、仕事の面で何らかの対策が必要な人まではずすことになりかねません。

この点については、改良の提案をします。

この調査では、所得も調べています。そこで、一定額以上の所得(例えば、400万円、600万円、800万円、1,000万円)を得ている配偶者をもち、就職を希望していないものだけを除くことにするのです。所得がこの額以下の配偶者がいても無業者に含めます。生計(所得)の面で問題があり、対策が必要だからです。また、所得がこの額以上の配偶者がいても、本人が求職活動をしていたり、就職を希望している場合には、やはり無業者に含めるのです。仕事の面で問題を抱えているからです。

こうすれば、専業主婦であることに満足している専業主婦、専業主夫であることに満足している専業主夫をはずすのに近い効果が得られ、所得、あるいは仕事の面で対策が必要な人数がより正確に把握できます。

なお、所得の金額を高く設定すればするほど、対策の必要のない人が「無業者」に含まれる可能性が高くなります。

あえて、現在の手法を取るのであれば、誤解を避けるために「若年無業者」ではなく「若年独身無業者」とするのがいいでしょう。

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