ニート その2 訂正版

昨日の続きです。

昨日書いた若年無業者の定義の 「4 15歳から34歳までの個人」には少し疑問を感じています。

15歳というのは労働可能な最低年齢ですから、これは問題がありません。

34歳は、微妙です。「若年」という観点で考えるなら、29歳でも良かったのではないかという気もしますが、現在「若い」というのは30歳代前半までなんだ。と割り切ったと言うことであれば、一応うなずける年齢です。

しかし、30歳代も後半になれば、結婚もするし、それなりに仕事に就くだろうと予測できるからという理由ならば、いささか疑問です。

就業構造基本調査で、無業者であって、家事をしているわけでもなければ、通学をしているわけでもない人の数を調べると、25歳から29歳では、58万人、30から34歳は44万人います。これに対して、35歳から39歳では31万人です。年齢が高くなるに連れて減ってはいます。

http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2002/kakuhou/zuhyou/z001.xls

率で見ると、人口に対して25歳から29歳では、6.21%、30から34歳は4.7%です。これに対して、35歳から39歳では3.8%です。今、この瞬間を捉えれば、年齢とともにこの率も着実に減ってきてはいます。

5年経つと(実際には、調査してから2年以上経っているので3年に満たないのですが、)現在の30歳から34歳(正確には「調査を実施した当時の30歳から34歳」です。)は35歳から39歳になります。そのとき、彼らは現在の35から39歳と同じように仕事に就いているでしょうか。

以前、「労働力の超・売り手市場が到来する?ほんとうかな?」でも書きましたが、現在の30から34歳層は、団塊ジュニアの中で最も人口の多いグループです。仮に彼らが現在の35歳から39歳と同じ数だけ仕事を持ち、家事をし、通学するとすると、「その他」の数は154万人になります。率では、16.3%です。

これはあまりにも悲観的なシナリオです。しかし、彼らが現在の35歳から39歳の層と同じ率まで下がるという保障もありません。

このような問題が年齢が上がるに連れて自ずから解決される、あるいは若年に特有な問題であると考えていいのかどうか疑問を持っています。むしろ団塊ジュニアの山の世代の問題だと考えた方がいいのかもしれません。

議論の前提自体を破壊してしまうことになるかもしれないのですが、「若年」ということにあまりにもこだわると、本当に深刻な問題、つまり近い将来、大勢の中年無業者が現れるという虞があることを見逃してしまわないかと心配です。

なお、無業者であって、家事をしている人がいます。本当に家事をしているなら問題はないのですが、形の上では家事だが実際にはそれほどの家事はしていないという人がいる可能性があります。

先ほどの数字に家事をしている人数を加えると、25歳から29歳では、179万人、30から34歳は232万人います。これに対して、35歳から39歳では181万人です。率では19.1%、24.6%、22.0%です。

此方の数では、25歳から29歳よりも35歳から39歳の方がやや多い可能性が高いのです。

(続く)

この記事は「ニート その2」に数値の誤りがあったので、5月11日に修正を加えたものです。

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