rascalさんのコメントに答えて その1

パートタイム労働者が増えなくなったのはなぜ? その1」「パートタイム労働者が増えなくなったのはなぜ? その2」「パートタイム労働者が増えなくなったのはなぜ? その3」 に、rascalさんから丁寧なコメントをいただきました。 rascalさんのコメントは「『ニートは救われるか?』のコメントに答えて」にありますので、こちらでご覧下さい。 かなり重要なコメントなので、記事でお答えします。 まず、私の書いた「反動」仮説については、rascalさんも、「私の実感的には、これを最も支持します。」と書かれているので、一応、問題はないようです。 この仮説に関連して、rascalさんが、パートタイム労働者とフルタイム労働者の代替、補完関係にふれられているので、この問題について私の考えを追加しておきます。 まず、代替、補完という言葉について説明をしておきます。経済学ではかなり厳密な定義を与えているのですが、ここではブログの性格上、ラフな説明にとどめます。ご了解下さい。 厳密な議論が知りたい方は、rascalさんが引いておられる「原論文」をご覧下さい。私も、この論文を読んで啓発されました。いい論文だと思っています。ただし、専門家が専門家に向けて書いた学術論文なので、かなり手強いものだということを予告しておきます。 原論文はこれです。↓ http://db.jil.go.jp/cgi-bin/jsk012?smode=dtldsp&detail=F2004010068&displayflg=1 さて、「代替」です。ある工場を考えてください。機械設備があり、労働者がいて何かを作っています。ある一定量のものを作る場合に、二つの方法が可能だとします。一つは、機械の数を減らす替わりに労働者の数を増やす。もう一つは労働者は減らして、替わりに機械を増やす。このように、どちらも可能な場合には、機械を労働者で置き換えること、労働者を機械で置き換えることができますので、労働者と機械は「代替」関係にあるといいます。 フルタイム労働者とパートタイム労働者も、同じように考えて、置き換えが可能であれば、「代替」関係にあります。 次に、「補完」です。製造を担当しているブルーカラー労働者と営業を担当している営業マン(ウーマン)がいる会社を考えてください。売り上げを増やすため営業マン(ウーマン)の数を増やして、見事注文をたくさん取ったとします。注文に応じて納品するためには、生産を増やさなくてはなりません。そのためには、ブルーカラー労働者を増やさなくてはならないとします。逆にブルーカラー労働者を増やして生産を増やすと、それを売るために営業マン(ウーマン)を増やさなければならないとします。この場合には、営業マン(ウーマン)が増えれば、ブルーカラー労働者が増える。ブルーカラー労働者が増えれば、営業マン(ウーマン)が増えるという関係があります。このときブルーカラー労働者と営業マン(ウーマン)は、「補完」関係にあるといいます。 フルタイム労働者とパートタイム労働者も、同じように考えて、一方が増えれば、もう一方も増えるという関係があれば、「代替」関係にあります。 おそらく、rascalさんは、現実に原論文が指摘するように補完関係が成立しているなら、反動のような形にはならないはずで、この仮説に無理があるかもしれないとおっしゃりたいのではないかと思います。(誤解であればすいません。) 次回、この問題に対する私の考えを書きます。 (つづく) 人気blogランキングでは「社会科学」の36位でした。クリックしていただいた方、ありがとうございました。今後もよろしく、 ↓クリックをお願いします。 人気blogランキング