ニートのミクロ経済学 その3

「今頃なんだ」と言われるかもしれませんが、このブログは、「実証派」を標榜しているのですが、今回の「ニートミクロ経済学」シリーズは、全く実証的ではありません。お断りしておきます。

前々回の「「ニート」のミクロ経済学 その1」で書いた

1 個人は完備性のある選好を持っている。

2 個人の選好は推移律を満たす。

というのは、一体何のことかと思われた方も多いでしょう。

まず、「選好」と言うのは、単純に言えば個人の好みのことです。

次に、「完備性」の説明をしましょう。仕事を例に取ると、二つの仕事XとYがあった場合、給料は別にして仕事そのものなら、「Xの方が好き」、「Yの方が好き」、「どちらも同じように好き」のどれかがの判断を個人がしているとき、その個人の「選好に完備性がある。」と言います。「XとYではどちらが好きなのか判断できない。」場合には、選好は完備ではありません。

仕事についての選好が完備でなければ、つまり二つしか仕事がなくても、どちらの仕事が好きなのか、自分で判断できなければ、どちらの仕事を選んでいいか分かりません。仕事があっても決められないのですから、無業になってしまいがちです。

「推移律」の方は、三つ以上の仕事が関係してきます。仕事をX、Y、Zとします。、もし、「YよりXの方が好き」であり、「ZよりYの方が好き」であれば、必ず「ZよりXの方が好き」である。こういう関係が成り立っていれば「推移律」は満たされています。数字の大小関係のように、大きい順というものが成立している場合だと考えてください。直線をイメージして下さい。

推移律が満たされていないのは、例えば、こんな場合です。YよりXの方が好き」であり、「ZよりYの方が好き」であっても、「XよりZの方が好き」である。ちょうどじゃんけんのように一番強いものがなく、序列が成立しない(ことがある)場合です。円のイメージを持って頂ければと思います。

仕事の選好について推移律が満たされていないとき、三つの仕事を巡って堂々巡りが続き仕事を選べないという虞があります。また、たとえ選んでも、別な仕事に目移りがして転職を繰り返すことになります。やはり不安定な就労と無業を繰り返すことになりがちです。

3 個人は自分の選好を知っている。

というのもよく似ています。「本当に自分が好きな仕事がなんなのか分からない。」と、仕事を選べません。

4 選好は、ある程度の期間は安定している。

ある一時点に限れば、自分がどんな仕事が好きなのかがはっきりしていて、仕事を選んでも、1週間も経てば気持ちが変わってしまう。仕事を転々とすることになります。

あとの、

5 選好に基づき決定を行うことは、個人にとってなんら負担ではない。

6 個人は、選好に基づき速やかに決定を行う(行える)。

7 個人は自分の労働能力を知っている。

については、次回説明をします。

(つづく)

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