rascalさんのコメントに答えて その4

rascalさんのコメントに答えて その3」の続きです。

前回データのリンクを忘れました。

職種別の労働者数のデータはここです。平成15年の結果です。

一般労働者

http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/data-rou4/data15/30401.xls

パートタイム労働者

http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/data-rou4/data15/31601.xls

さて、今日の本論です。

「フルタイム労働者の非正規化」は記事でも書いたとおり、今のところ統計では裏付けることも否定することもできない仮説であるというのが私の立場です。

この仮説について、rascalさんは、「一般職を非正規労働者に置き換えつつあるという企業の傾向から考えて実感が湧かず」と述べられています。

一般職はおそらくフルタイムの正規労働者でしょう。それを置き換えている非正規労働者の一部がフルタイム労働者であれば、これは私の考える「フルタイム労働者の非正規化」そのものです。私の表現が悪くて誤解を招いたのかもしれませんが、今まで正規労働者であった労働者を、雇用し続けたまま非正規にすることだけを「フルタイム労働者の非正規化」と呼んでいるわけではありません。一般労働者を置き換えた非正規労働者の賃金は低いはずですから、パートタイム労働者の増加を抑える要因になるはずです。

rascalさんの指摘された「事業所センサス、毎月勤労統計の差異を利用した分析は調査の特性を踏まえて慎重に行う必要がある」点については、一般論としてごもっともだと思います。

複数の統計を組み合わせた分析の例として、家計調査と毎月勤労統計の労働時間の差を用いた分析がありますが、正直言って、どの程度信頼していいのかよく分かりません。

ただ、事業所センサス(正式には「事業所・企業統計調査」)と毎月勤労統計の間には、前者を母集団として無作為抽出して後者が作られているという緊密な関係があります。従って事業所の概念などは共通であり、比較的無理のない利用の仕方ではないかと思っています。

最後に、私の気づいていなかった「比較的非正規雇用者比率の高い産業の採用意欲が低いため」という可能性は、確かにあると思います。少し考えてみたいと思います。

なお、毎月勤労統計の2005年3月の確報が発表されました。↓

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/17/1703fr/mk1703r.html

これによると速報では0.4%増加であった一般労働者は0.2%に下方修正、0.9%増であったパートタイム労働者は1.8%に上方修正されています。それでも、しばらく前に比べればパートタイム労働者の増加率が低くなっていることに変わりはありません。

これで、rascalさんの最初のコメントにはすべてお答えしたと思います。rascalさんからは追加のコメントをいただいていますので、また時期を見てお答えしたいと思います。コメントをいただいたおかげで考えを整理することができました。rascalさんのお礼を申し上げます。少々ややこしい議論におつきあいいただいた読者の皆さんにも感謝します。

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