政治思想の対立軸を考える。その3

政治思想の対立軸を考える。その2」で考えたような三党鼎立の状況が発生したとします。 どの政党も議会で単独過半数を取れない場合、連立、あるいは部分連合のような連携が必要になってきます。 どのような連携が可能性が高いかを考えてみます。政治には人間関係や信頼関係がつきもので、政策よりもむしろこちらのほうが連携については重要である可能性が高いと思います。信用できない相手とは手を組めないからです。 しかし、とりあえず政治姿勢をベースに考えると、下の表を見ればわかるように、政治勢力Sは、社会重視という点で政治勢力Tと共通点があり、自由・自立重視という点で政治勢力Vと共通点があります。しかし、政治勢力Tと政治勢力Vには共通点がありません。すると、あり得る可能性は政治勢力Sを背景にした政党と、政治勢力Vか政治勢力Tを背景にした政党の連携ということになります。 政治思想の理論的区分けと政治勢力
政治勢力第一の軸第二の軸
政治勢力V市場重視自立・自由重視
政治勢力S社会重視自立・自由重視
政治勢力T社会重視伝統・秩序重視
しかし、これでは政治勢力Vと政治勢力Tを背景にした政党は不利です。これを挽回し、少なくとも対等にするたいと思うでしょう。そのためには、第三の軸を設定すればいいのです。そこにおいて、政治勢力Vと政治勢力Tが手を結べるけれども、政治勢力Sは手を組めず、孤立してしまうような軸です。たとえば、次の表のような対外姿勢としましょう。 政治思想の理論的区分けと政治勢力
政治勢力第一の軸第二の軸第三の軸
政治勢力V市場重視自立・自由重視対外強硬論
政治勢力T社会重視伝統・秩序重視対外強硬論
政治勢力S社会重視自立・自由重視国際協調重視
こうすれば、三者は、それぞれ一つの共通点と二つの相容れない点を持つことになります。もし、第三の軸が最も重要だということになれば、政治勢力Vと政治勢力Tを背景にした政党の連携が実現するでしょう。 さらにもう一つの軸、やはり、政治勢力Sが孤立してしまうような軸を作れば、この連携の可能性はさらに高まります。 素朴に考えれば、最初に政治思想の軸があって、それをもとに政治勢力が出来上がり、その政治勢力を代表する政党が出来上がるのですが、政権をとって政策を実現するためには、政治の技術、アートが必要です。 政権をとるためには、政治的な対立軸を設定する能力が、政党に問われることになります。そして、国民には、その軸を重要な対立軸として受け入れるかどうかが問われます。政党が掲げた政治の対立軸が本当に意味のあるものなのか、真贋を見極める必要があります。 人気blogランキングでは「社会科学」の32位でした。↓クリックをお願いします。 人気blogランキング