財政

2015年度の税収見積もりは議論の土台にならない その2

「2015年度の税収見積もりは議論の土台にならない」では、所得税の源泉分の実績からみて、見積もりが過少になりつつあることを示しました。法人税の見積もりにも問題がありそうです。見積もりでは、2015年度は微減となっています。 しかし、日本経済…

「国の一般会計23年度決算」に思う。

「国の一般会計23年度決算」の続きです。 4兆円という額を、主な支出と比べてみましょう。 社会保障関係費30兆円の12%にしかなりません。社会保障関係費を税金で賄うためには26兆円、税収を増やす必要があります。 文教及び科学振興費6兆円の三分の二。 …

国の一般会計23年度決算

財務省から、23年度決算が発表されています。http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/account/fy2011/ke240731sankou-1.pdf 歳入は、110兆円ですが、このうち前年度からの繰越金が5兆円あるので、23年度の実質的な歳入は、105兆円です。このうち税収は…

新 赤字国債を発行しなければ。

行政府は、立法府の統制に服すべきものです。法律も予算も国会が決めて、内閣が失効します。 法律によって政府に義務付けられた支出というものがあります。契約によって政府が支払うべきものもあります。 税制は法律で決まっており、政府がこれに基づいて徴…

赤字国債を発行しなければ。

赤字国債はできれば発行しないで済ませたほうがいいでしょう。発行しない場合の財政を考えてみました。 政府の23年度予算での歳入の見積もりでは、税収が40兆9千億円、その他の収入が7兆2千億円、建設公債が6兆1千億円、合計54兆2千億円が赤字国債を発行しな…

19年度税収予想 その1

「18年度補正予算は、甘くなかったか?」では、18年度の税収の結果を議論しましたが、今回は19年度税収の予想です。 18年度予想=17年度実績×18年度途中までの実績÷17年度の対応する時期の実績 このような単純な方法で予測をしてみました。結…

18年度補正予算は、甘くなかったか?

18年度の決算の概数が発表されました。 ちょっと、おかしな事態が起こっています。所得税、法人税の見積り額に比べて、実際の収入がかなり少ないのです。 年度当初に作られた予算については、「財政再建の第一歩」で書いたような事情があり、ある程度はず…

「続・公的部門のあり方を考える⑦~道州制導入の是非」について

TORIさんが、「続・公的部門のあり方を考える⑦~道州制導入の是非」でこんなことを書かれています。 4)他にも課題は山積 さらに、道州制を導入するに当たって、国と地方の役割のグランドデザインをどうするかという問題の決着がまったくついていません…

「財政再建の第一歩」を踏み出す好機到来

「財政再建の第一歩」を踏み出すいい機会が巡ってきたようです。 最近の報道によると、2005年度の決算の剰余金が9千億円、2006年度の税収が予算を4兆円上回る見込みです。合計すると5兆円弱です。 緊急の支出もあるでしょうが、相当な余剰が生じ…

財政再建の第一歩

「税収見積もり」で、平成17年度の税収見積もりが大幅に狂う見込みであると書きましたが、そのような狂いをなくすのは、実は簡単なことです。 この財務省の資料をご覧下さい。「一般会計税収の予算と決算の推移」です。http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei…

税収見積もり

2011年度に財政の基礎収支を均衡させるという目標達成を目指して、必要な財政改善の額はいくらかだとか、歳出削減額はいくらとすべきか、増収をどれくらいにすべきかなど、盛んに議論されています。 (注)基礎的財政収支については「「「「ちょっと変だ…

もう少し考えて 毎日新聞

毎日新聞の社説について二度記事を書きました。 最初がこれです。「唐様で売り家と書けばいいのでしょうか?毎日新聞」 次がこれです。 「進化した毎日新聞」について 4月6日に、また、社説が書かれています。これです。 http://www.mainichi-msn.co.jp/ey…

「「「ちょっと変だよ、日経新聞 基礎的財政収支」について」の補足」について

「「「ちょっと変だよ、日経新聞 基礎的財政収支」について」の補足」について の続きです。 名目成長率が長期利子率より低かったり、基礎的財政収支が赤字であったりしたときに、財政の持続を可能にするためにはどのような条件が必要か?これが問題です。 …

「「ちょっと変だよ、日経新聞 基礎的財政収支」について」の補足

「「ちょっと変だよ、日経新聞 基礎的財政収支」について」を少し、補足しておきます。 財政再建について、やや経済学の教科書的な説明です。 財政を考えるとき、重要なのは財政を運営し続けられるかどうかです。 そのための条件は、税府の収入に占める利払…

「ちょっと変だよ、日経新聞 基礎的財政収支」について

去年の終わりに、「ちょっと変だよ、日経新聞 基礎的財政収支」で、日経新聞の基礎的財政収支の理解の不足について書いたのですが、今日(2006年3月19日)もおかしな記事が載っていました。「視点」の「ニュース入門」という欄の「名目成長率と長期金…

「「国債償還費」へのご質問に対するお返事」の追加

「「国債償還費」へのご質問に対するお返事」で、二つの理由を示しましたが、第三の理由を推定できました。 理由3 翌年度以降の償還のため前倒しで発行されている国債がある。この国債は新規財源債ではない「建設国債」として取り扱われている。 これは、確…

「「国債償還費」へのご質問に対するお返事」について

「「国債償還費」へのご質問に対するお返事」について、cloudyさんから追加質問をいただきましたので、お答えします。 政府が、毎年発表している一般会計の概要となるべく一致させるという方向でお考えであるとして、お答えします。 次のようにされるといい…

「国債償還費」へのご質問に対するお返事

「国債償還費」に、cloudyさんから質問のコメントをいただきました。 調べられた範囲でお答えをします。 cloudyさんが、使われた資料(コメントの中にあります。)で普通国債純増額が-(一般歳出+利払費)-税等の収入にならないのはなぜか。 少なくとも二…

国債償還費

この記事を書くことになった経緯は次の通りです。 1 bewaadさんが「リフレ政策に勝算ありや(http://bewaad.com/20050823.html#p01)」というエントリで、リフレ政策と財政の持続可能性に関する試算を発表されました。 2 これを受けてcloudyさんが「財政赤…

原油高 その4

デフレ脱却のためにリフレーション政策を採用すべきかどうかを巡っていろいろ議論があります。ブログでは、http://bewaad.com/20051002.html などが、包括的な議論になっています。 私も、簡単な試算をしてみたことがあります。最終版は、「 .html" target="…

「財政再建・最後の試算」の修正 後編

「「財政再建・最後の試算」の修正 前編」の続きです。 普通の支出、利払費、償還費、そして3者の合計である財政規模です。 支出(兆円)年普通の支出利払費償還費財政規模1年76.510.510.086.52年79.511.110.590.13年8…

「財政再建・最後の試算」の修正 前編

「財政再建・最後の試算」で書いた試算は少し説明不足だったようです。思いがけない誤解を生んでいるようなので少し修正と補足をしておきます。 まず、前提条件を。 (国債の条件) 1 1年目目の最初にある国債残高は500兆円。 2 利子率は常に2.1%…

bewaadさんの試算

財政再建について、「財政再建・最後の試算」など、いくつか簡単な試算をしたのですが、bewaadさんが、詳細な試算をされています。http://bewaad.com/tb.rb/20050823 参考になる試算です。是非ご覧下さい。http://bewaad.com/20050823 ただ、少し意見の違う…

財政再建・最後の試算

「名目か実質か」の続きです。これが最後です。 思いもかけず、長いシリーズになってしまいました。ご参考のためにまとめをしておきます。 「破局」を迎えるか否かで整理します。ここで「破局」は国債発行残高を名目GDPで割ったものがどんどん大きくなる…

名目か実質か

「財政再建・試算・梅の謎」の続きです。 少し繰り返しですが、確認のために。 放漫財政に流れ、その結果、「毎年の国債関係以外の支出の内税収でまかなえない額」がどんどん増えていくと、いつまで経っても国債発行残高を名目GDPで割った値は、下がらず…

財政再建・試算・梅の謎

今日は、「財政再建・試算・「梅」」で書いた質問にお答えしたいと思います。 まず、「財政赤字を出し続けるのだから、最初は国債発行残高を名目GDPで割った値が増えていくのは分かる。でも、赤字が出続けるのに、なぜ途中から改善していくのか?」 「梅…

財政再建・試算・「梅」

「財政再建・試算・「竹」と「松」」では、名目成長率が名目金利より低いという条件の下で、財政の収支を改善するという方法を取ると何が起こるかを示しました。 今回は、何らかの方法で名目成長率を名目金利よりも上げることができた場合の試算です。 各ケ…