「
「財政再建・最後の試算」の修正 前編」の続きです。
普通の支出、利払費、償還費、そして3者の合計である財政規模です。
支出(兆円)年 | 普通の支出 | 利払費 | 償還費 | 財政規模 |
---|
1年 | 76.5 | 10.5 | 10.0 | 86.5 |
2年 | 79.5 | 11.1 | 10.5 | 90.1 |
3年 | 82.5 | 11.4 | 10.9 | 93.3 |
4年 | 85.5 | 11.8 | 11.2 | 96.7 |
5年 | 88.6 | 12.1 | 11.5 | 100.2 |
6年 | 91.9 | 12.5 | 11.9 | 103.8 |
7年 | 95.3 | 12.9 | 12.3 | 107.5 |
8年 | 98.8 | 13.3 | 12.7 | 111.4 |
9年 | 102.4 | 13.7 | 13.1 | 115.5 |
10年 | 106.2 | 14.1 | 13.5 | 119.6 |
20年 | 152.6 | 19.2 | 18.2 | 170.8 |
最後に名目GDPと
国債発行残高、そしてその比率です。これが財政の持続可能性です。
財政の持続可能性(兆円)年 | 名目GDP(A) | 国債発行残高(B) | 比率(B÷A) |
---|
1年 | 500 | 500 | 1.00 |
2年 | 520 | 527 | 1.01 |
3年 | 541 | 543 | 1.00 |
4年 | 562 | 560 | 1.00 |
5年 | 585 | 577 | 0.99 |
6年 | 608 | 595 | 0.98 |
7年 | 633 | 614 | 0.97 |
8年 | 658 | 633 | 0.96 |
9年 | 684 | 653 | 0.95 |
10年 | 712 | 673 | 0.95 |
20年 | 1,053 | 912 | 0.87 |
30年 | 1,559 | 1,234 | 0.79 |
40年 | 2,308 | 1,666 | 0.72 |
50年 | 3,417 | 2,247 | 0.66 |
きわめて長期間、前提条件で示したように経済を運営することができれば、つまり、ある程度の物価上昇と実質成長を続ければ、財政は持続可能です。つまり、政治家が国民へのサービスの水準を少しずつ上げながら、財政運営を続けることは可能です。政治家がより抑制的な政策を採ったり、税収が名目成長率以上に増加したりすれば(それが物価や成長に影響を与えないものとして、)さらに早く比率を下げていくことは可能です。
問題は、このような経済運営を続けることが可能かどうかです。三つの危険があります。
一つは、財政規律がゆるみ
財政支出が野放図に拡大する事です。特に比率が下がり始めたとき、「まあ、いいじゃないか。比率も下がってきたことだし。」となるおそれがあります。もう一つの例として、
地震、大型台風などの天災などで、
財政支出を余儀なくされるおそれもあります。
二つは、逆に
財政再建を急ぎすぎて、物価の低下、実質成長率の低下をもたらしてしまうことです。97年に景気拡大が続くと信じて行った財政
構造改革が、マイナス成長をもたらした例もあります。使命感に燃え、一気に片を付けようと考えるのは危険です。
最後に、海外の資源の価格高騰などにより、インフレと実質マイナス成長などに追い込まれる危険もあります。
いずれにせよ、大量の
国債を発行してしまっている場合には、財政を持続させるには、経済の同行に対する細心の注意と忍耐、そして揺るがない決意が政治家に必要です。
人気blogランキングでは「社会科学」の18位でした。クリックしていただいた方、ありがとうございました。今日も↓クリックをお願いします。
人気blogランキング