「
「国債償還費」へのご質問に対するお返事」で、二つの理由を示しましたが、第三の理由を推定できました。
理由3 翌年度以降の償還のため前倒しで発行されている国債がある。この国債は新規財源債ではない「建設国債」として取り扱われている。
これは、確実な情報ではありません。確かなことは、
財務省に聞かないと分からないと思います。ただ、こう考えると整合的な説明が可能になります。
これを考慮すると(8)をこう修正しなければなりません。
普通国債の純増額=今年度末の
普通国債の残高-
普通国債の前年度末の残高
=一般歳出+利払費-税等の収入+整理
基金への繰り入れ超過額+一般会計の他の債務を
普通国債で借り換えた額+借換のため前倒しで発行した
建設国債・・・(9)
cloudyさんがコメントで示された資料から17年度の前倒し発行額は6兆円であることが分かります。これを元に前回の表を修正しました。修正したところにアンダーラインを引きました。
黒字は
財務省のデータに載っていたもの、赤字はそれを元に私が推定したものです。
普通国債の増減(億円)国債の種類 | 16年度末残高 | 新規発行 | 償還 | 17年度末残高 |
---|
合計 | 5,051,313 | 426,633 | 94,098 | 5,383,849 |
新規財源債 | 4,791,030 | 343,900 | 19,612 | 5,115,318 |
・建設国債 | 2,452,803 | 61,800 | 47,503 | 2,527,100 |
・特例国債 | 2,338,227 | 282,100 | 32,109 | 2,620,327 |
借換債 | 260,283 | 22,733 | 14,486 | 268,530 |
・減税特例 | 52,943 | ? | ? | 49,621 |
・国鉄承継 | 172,961 | ? | ? | 183,904 |
・林野承継 | 27,625 | ? | ? | 27,625 |
・交付税承継 | 6,754 | ? | ? | 7,529 |
前倒国債 | | 60,000 | | |
こう考えると、
建設国債の償還額が正の値になります。
また、「承継
国債の発行額」、つまり、「
普通国債以外の一般会計の債務の借換のために発行される
普通国債の額」は、22,377億円になります。この額は、一般会計の借入金の減少額、8,78億円と「
日本国有鉄道精算事業団債券等承継
国債」(これは
普通国債ではありません)の減少額15,400億円をあわせたものをやや下回ります。借入金の多くは
普通国債の置き換えられたでしょうが、わずかな部分は別な方法で減額されたでしょう。従って、この二つの数字には整合性があります。
さて、一般会計の他の債務を
普通国債で借り換えた場合、確かに
普通国債は増えますが、一般会計の債務の総額には変化がありません。また、前倒しによって
普通国債を発行しても、その代金が
国債整理
基金に積み立てられます。その額は将来
普通国債の返済に充てられます。したがって、一般会計の負担には変化がありません。
ネットでは事実上一般会計の債務に変化はないのです。影響を与えるのは新規財源債の発行と償還だけです。これを捉えれば「カリキュレーター」は十分なので、借換や前倒しは外生変数として扱えばいい、つまり、初期値と同じように扱えばいいと言うのが、私の助言です。
なお、これらの額は、予算編成過程で、
財務省が発表しますので、個人でも利用可能です。
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