原油高 その4

デフレ脱却のためにリフレーション政策を採用すべきかどうかを巡っていろいろ議論があります。ブログでは、http://bewaad.com/20051002.html などが、包括的な議論になっています。

私も、簡単な試算をしてみたことがあります。最終版は、「「財政再建・最後の試算」の修正 前編」、「「財政再建・最後の試算」の修正 後編」です。

原油高(他の資源の価格も上がっていますので、不正確といえば、不正確なのですが、わかりやすい表現として、ご勘弁下さい。)による物価の上昇も、リフレーションといって言えなくもありません。

では、リフレーション政策で期待されている、物価上昇期待の形成→現実の物価上昇と実質でのプラス成長=名目でのプラス成長(→財政の持続性確保)という図式は、同じように成立するのでしょうか。

必ずしもそうではありません。

リフレーション政策で想定されているのはあくまで、国内事情による物価の上昇です。ホームメイドリフレーションなのです。原油高が引き起こす物価の上昇は、これとは性格が違います。

原油高が引き起こす物価の上昇は、今まで通りの輸入を行うためにより多くの財を輸出しなければならない、貿易収支が悪化するなどの現象を伴います。

物価上昇(期待)により実質成長がもたらされるかどうか、はっきりしないのです。場合によれば、企業や個人が、先行き不透明と判断して投資や少子を手控え、実質成長をマイナスにするおそれさえあります。

もちろん、物価上昇が激しければ、実質マイナス成長でも、名目成長率がプラスになる可能性はあるのですが、生産や雇用の落ち込みが発生してしまいます。

原油高が一時的な現象であるならいいのですが、長期化すると大問題です。先行き要注意です。

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