18年度補正予算は、甘くなかったか?

18年度の決算の概数が発表されました。 ちょっと、おかしな事態が起こっています。所得税法人税の見積り額に比べて、実際の収入がかなり少ないのです。 年度当初に作られた予算については、「財政再建の第一歩」で書いたような事情があり、ある程度はずれても仕方がありません。しかし、補正予算の政府案はは18年12月20日に決定されていますから、それほど狂うのは変です。 当初の予算で見積もった額と補正で見積もった額、そして実績は、次の通りです。 税収(百万円)
当初予算額補正後予算額決算額(概数)
所得税源泉分10,425,00011,881,00011,494,252
所得税申告分2,363,0002,689,0002,559,842
所得税12,788,00014,570,00014,054,094
法人税13、058,00015,809,00014,917,877
一般会計分計45,878,00050,468,00049,069,053
上の表から、補正の際に増加すると見積もった額と実際に増えた額を計算し、補正予算で過大に見積もってしまった額、最後に過大な見積もりが実際に増加した額に対してどれくらいの割合であったかを計算してみました。その結果が次の表です。 税(百万円)
増加見込額実際の増加額過大な見込額その割合
所得税源泉分1,456,0001,069,252386,74836%
所得税申告分326,000196,842129,15866%
所得税1,782,0001,266,094515,90641%
法人税2,751,0001,859,877891,12348%
一般会計分計4,590,0003,191,0531,398,94744%
補正の方向は正しかった、と言っても誉めたことにはならないでしょう。補正での見積もりはどの項目を取ってみても、実績を大幅に上回っています。割合が一番低いのは所得税の源泉分ですが、それでも36%オーバーです。 一番成績が悪いのは、所得税申告分で66%オーバーです。 こう書くと、源泉分が(相対的に)うまく見積もられているようですが、そうでもありません。源泉分は、毎月着実に入ってきます。予想がしやすいのです。 ちょっと試してみます。 17年度の9月までの納税額は、5,942,448百億円です。17年度計では、12,955,818百億円です。9月までの実績の2.180倍です。 さて、18年度9月までの実績(これは補正を行うときには実績として分かっています。)は5,274,569百億円でした。これに前年の倍率2.180を掛けて、18年度の予想額としましょう。11,499,698百万円です。 この予想額と実績との差はどれくらいか?5,446百億円オーバーです。 上の表と比べてください。この単純な予測の方が二桁小さいのです。 なお、公平のために書いておきますが、総額で見れば、補正後の見積もりに対しては、過去の例(http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/siryou/sy1903c.htm)から見て、それほど大きな狂いではないという弁明は成立するかもしれません。 補正後予算額に対する過大な見込み額の割合(%)
割合
所得税源泉分3.3%
所得税申告分4.8%
所得税3.3%
法人税5.6%
一般会計分計2.8%
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