「
財政再建・試算・「竹」と「松」」では、名目成長率が
名目金利より低いという条件の下で、財政の収支を改善するという方法を取ると何が起こるかを示しました。
今回は、何らかの方法で名目成長率を
名目金利よりも上げることができた場合の試算です。
各ケース共通とした、
1 最初の
国債発行残高は、550兆円
2 最初の名目GDPは、500兆円。
については、当然変更しません。
名目金利は、1.4%というのは第二のケースと同じです。
二つの変更をします。
まず、名目GDP成長率を第一のケース、第二のケースでは、-0.8%としていたのを、2.5%高い+1.7%とすることです。この結果、
名目成長率は名目金利よりも0.3%高くなります。>
次に、第二のケースではゼロとした「毎年の
国債関係以外の支出の内税収でまかなえない額」を第一のケースと同じ16兆円に戻す点です。なお、
この額は年が経っても変わらないものとします。「物価上昇があっても赤字を増やしはしないが、それ以上の収支改善の努力も行わない。」ということです。
「
財政再建」の表現で言う、財政健全度は「梅」に当たります。「梅の計算式」の均衡維持の条件、つまり、
国債発行残高×GDP成長率=利払費プラス税収で賄いきれなかった
国債の元利支払い以外の支出という条件については、当初は満たしていません。
まずは、具体的に試算した結果をご覧下さい。
第三の試算(兆円、倍)年 | 国債発行残高 | 名目GDP | 倍率 |
---|
0年 | 550 | 500 | 1.10 |
10年目 | 803 | 592 | 1.36 |
20年目 | 1,093 | 700 | 1.56 |
30年目 | 1,426 | 829 | 1.72 |
40年目 | 1,809 | 981 | 1.84 |
50年目 | 2,250 | 1,161 | 1.94 |
100年目 | 5,656 | 2,698 | 2.10 |
200年目 | 26,160 | 14,560 | 1.80 |
300年目 | 108,507 | 78,570 | 1.38 |
380年目 | 332,317 | 302,644 | 1.10 |
400年目 | 439,212 | 423,986 | 1.04 |
410年目 | 504,894 | 501,835 | 1.01 |
国債発行残高を名目GDPで割った値は、一時的に(といっても100年間ですが。)悪化し、2倍以上になりますが、その後、低下を始め、ある時点で(380年後です。)元の1.1倍に戻り、その後さらに低下していきます。
最終的には
破局は避けられるのです。
途中経過を見ても、最も厳しい100年後でも、名目GDP(2,698兆円)に対する利払額(79.2兆円)の割合は、2.9%です。最初の1.6%から極端に高くなっているわけではありません。
国債発行残高やめいもくGDPの値をご覧になって、
ハイパーインフレーション(これは別な意味で
破局です。)が起こっているのではないかと思われるかもしれません。名目GDPの成長率は1.7%ですから、実質GDP成長率がマイナス2%でも、
物価上昇率は3.7%です。
この条件(財政健全度「梅」)でも、
破局は起こらないのです。
しかし、この表をご覧になっていくつかの疑問が浮
かぶのではないかと思います。
1 まず、400年間の予想など、「平家」は、悪い冗談を言っているのではないか?これはまじめな記事なのか?
2
財政赤字を出し続けるのだから、最初は
国債発行残高を名目GDPで割った値が増えていくは分かる。でも、赤字が出続けるのに、なぜ途中から改善していくのか?
3 途中から改善するのはいいが、なぜ、改善し始めるのにこんなに時間がかかるのか?改善が始まってからも遅々たる歩みになるのは何故か。
4 赤字を出し続けながら改善するというのは、どう考えてもおかしい。名目成長率が
名目金利よりも高いというだけでこんなにうまくいくのか?何か、計算にトリックがあるのではないか?
今回は最初の質問だけにお答えし、残りは次回にお答えしたいと思います。
答 極めてまじめに考えて得た結論を記事にしました。
機械的な予測に基づくものですけれども、まじめな記事です。
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