三党鼎立ができない条件

政治思想は、どこまで力があるのか?」とは別に、理論的にはすっきりとした三党鼎立ができない条件があります。

1 小選挙区制であること

2 各政治勢力にグラディエーションがあり、主流派と非主流派があること

3 選挙のたびに風が吹くこと

4 野党でいるよりも、自分の主張を完全には通せなくても、とりあえず与党にいるほうがいいと政治家が思うこと

第1回目の選挙で、風が吹いて、どれかの政党が圧勝したとしましょう。例として政治勢力Vを代表する政党政治勢力Vが勝ったとします。この時、この政党には連立を組む誘因がありません。自分の党で政治権力を独占するでしょう。

次の選挙では、政治勢力Vを背景にする政党は現職を公認するでしょう。すると、小選挙区を前提にすると、この現職以外の全政治勢力が結集して対抗する可能性が出てきます。政治勢力Tと政治勢力Sは手を握る可能性が高くなりますし、政治勢力Vの非主流派、さらに、どの政治勢力にも属さないものも手を組みます。勝つためにはそれが一番いいのです。現職以外大連合です。

再び政治勢力Vに風が吹いて、圧勝すれば、同じ状態が続きます。逆風が吹くと、現職以外大連合が圧勝します。この政党の政治家は、明確な政治思想を共有していません。しかし、権力を自分たちで独占し、仲間で分かち合います。

三回目の選挙では、この政治思想を共有してはいない政党の現職以外大連合が成立します。「現職以外大連合」以外大連合です。この大連合も、政治思想を共有することはありません。倒すべき相手が政治思想を共有していないのですから。この時点で、明確な政治思想のもとに結集した政党はなくなります。

後はくり返しです。いったんこうなると、この循環から抜け出すのは困難です。

どちらに向かって風が吹いても、与党も野党も明確な政治思想を持つものではなくなったまま、選挙ごとに吹く風のまにまに、政権交代が行われていくのです。

多くの国民が政治思想に思い入れを持ち、その政治思想に基づく政治を実現しようと、粘り強く投票を繰り返すのでない限り、こういった状況が生じる可能性は存在し続けます。

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