2006-01-01から1年間の記事一覧

「所得と中絶」について

「所得と中絶」に、廣瀬さんから東京がはずれ値なのはなぜかというお尋ねがありました。 東京都は中絶率が特に高いわけでも低いわけでもなく、突出して一人当たり都民所得が高いのです。大阪、愛知とは比較になりません。偉大なる田舎という表現があったよう…

所得と中絶

「実質DDPを高めることが潜在実質GDP成長率を高めることに繋がるか?」で、景気と人口の変化の関係を調べてみました。 これに関連して、もう一つ考えてみます。所得と妊娠中絶の関係です。所得が高いと妊娠すれば、そのまま子供を産む、貧しいと中絶してしま…

安倍政権の経済政策

「実質DDPを高めることが潜在実質GDP成長率を高めることに繋がるか?」にecon-economeさんからコメントをいただきました。それに触発されてのエントリーです。 安倍政権の潜在成長率引き上げ政策を軸にいろいろな立場を整理してみようと思います。 まず、安…

実質GDPを高めることが潜在実質GDP成長率を高めることに繋がるか?

econ-economeさんのエントリー(http://d.hatena.ne.jp/econ-econome/20061030/p2)とは逆の問題を考えて見ます。 潜在実質GDP成長率(面倒ので、これ以後は潜在成長率にします。)は、技術の進歩(その活用度)、資本の成長、労働力の量的、質的な成長から…

9月も貿易収支黒字幅は改善

「「7月の貿易収支黒字」について」で、8月は貿易収支の黒字が2005年8月の2倍近いものになったと書きました。 9月(速報)も貿易黒字は前年より改善しました。輸出が17.7%増加と高い伸びになり、輸入は16.1%増加にとどまったためです。 黒…

景気回復と労務管理 その2

「景気回復と労務管理 その1」で書いた低賃金の非正規労働者が多数いることを前提とした企業、業態は、労働市場がタイトになり低賃金では非正規労働者がいなくなると、経営困難に陥ります。 外部労働市場では、賃金は需給関係で決まります。需給が緩和する…

景気回復と労務管理 その1

長期不況期の労務管理には、二つの特徴があったように思います。一つは、かなりの職種について有期契約社員や派遣労働者など非正規労働者の活用したこと、もう一つは、即戦力の人材の採用です。ある部分について内部労働市場ではなく流動的な外部労働市場を…

地方自治体の特殊勤務手当

会計検査院が、地方公務員の特殊勤務手当を問題にしているそうです。その中で公共用地の取得や補償交渉に携わった場合の「用地交渉等手当」が問題にされたようです。はなぶささんが「ニュースの裏側~地方自治体の特殊勤務手当」で紹介されている報道では、…

足による投票

足による投票をもう少し考えてみたいと思います。 「夕張市の症例研究 その2 足による投票」についてで引用した部分に続いて、岩田先生はこう述べられています。 地方分権的であれば、各地方政府は人々や企業を引きつけようとして競争する。これによって、…

夕張市の症例研究 その2 足による投票

「夕張市の症例研究 その1 ナショナル ミニマムと地方分権」について の最後で書いた「分かる」「他のこと」というのは、足による投票で、誰が投票権を持ち、誰が持たないかということです。 まず、足による投票とは何なのか、岩田規久男先生の説明を引用し…

夕張市の症例研究 その1 ナショナル ミニマムと地方分権

夕張市が、もうすぐ財政再建団体になります。ここで、一種の社会実験のようなものが始まります。 まず、「ナショナル ミニマムと地方分権」についてで書いたの組み合わせの問題が分かります。 財政再建団体になれば、財政支出は極限まで削減されます。しかし…

行政窓口サービスの民間委託

hamachanさんが、東京都足立区の窓口サービスの民間委託(派遣?)問題を紹介されています(http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/post_9761.html)。 hamachanさんは足立区に対して批判的で、それについては私に異論はないのですが、足立区は…

ナショナル ミニマムと地方分権

研究メモ(http://d.hatena.ne.jp/dojin/20061013)で、議論されているナショナル ミニマムと地方分権の関係。この二つが正しいことは自明のこと様に扱われがちです。しかし、この二つ、本来はなじみがいいものではありません。 一つの例を挙げてみます。基…

8月の機械受注統計

8月の機械受注統計が、先日発表されました。(http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/0608juchu.html) 機械の受注は本質的にぶれが大きいので、少しだけ、長い目で見てみたいと思い、7,8月の合計を計算してみました。(季節調整をしていません。) 合…

反省 その後

「反省」で、「反省しているなら、形で表し、罰を受けるべきである、罰を逃れようとするようでは、本当には反省していないのだ。こういう感覚ものかたがたもいるのです。どちらが正しいとか、間違っているとかいうことではありません。微妙な差があるのです…

「「高卒有効求人倍率1倍」から見える現実」について

統計で使う言葉に求人倍率というのがあります。 ハローワークに登録している有効求職者で有効求人を割れば、有効求人倍率で、ある月に新たに登録した求職者の数でその月に申し込まれた求人の数を割ると、新規求人倍率です。 毎月、厚生労働省から発表されて…

アザデガン油田

アザデガン油田の開発権益が縮小されたと話題になっています。 私企業が自分のために油田の開発をするのなら、別に他人が口を出すことではありません。 しかし、国のレベルで考えると、今回の縮小は重要ではないと思います。というのは、この油田はペルシャ…

地方公共団体間の若者獲得競争

「地方の若者の職場 その2」で、「若者の争奪戦では、もう勝負がついています。再チャレンジを試みても体力を消耗するだけです。」と書きました。このときは現在の地方財政システムを前提に考えていました。 最近、地方公共団体に国の財政から必要最小限(…

反省

韓国の人気ドラマ、チャングムを見て単純に楽しんできました。脚本もいいし、女優さんたちの演技もなかなかのもので、毎週見てきました。 ところが、このドラマが終盤になってきて、単純に楽しんでいられなくなってきました。韓国人と日本人の考え方の大きな…

介護労働者の立ち去り その2

皆さんから「介護労働者の立ち去り」にコメントをいただきました。 介護問題は、当事者つまり、介護を必要とされる方と介護しなめればならない方、多くの場合は家族の皆さんにとって大きな問題です。 ただ、多少、税金にせよ、保険料にせよ公的な資金の投入…

「0で割る」に挑戦

「0で割る」に挑戦。 文科系的に考えます。つまり、計算の意味を考えます。 話を足し算から始めます。 10+10+10+10+10=50 これは、10が5つあると、合わせていくつかな?それは50。そういう意味です。 次ぎにかけ算に進みます。 10×…

一部門、固定係数生産関数における期待の役割

「一部門、固定係数生産関数による日本経済の現状の分析の試み その2」に、ラスカルさんからTB(http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20060919)を頂きました。十分考えきれていないのですが、とりあえず。 もし、このモデルにミクロ経済学的な基礎を与えてい…

介護労働者の立ち去り

介護保険は、強制適用される社会保険です。保険料を徴収した以上、給付はしなければなりません。 ホームヘルパーの不足が深刻化しているそうですが、おそらく同時に介護施設の非正規職員も不足し始めているはずです。労働市場の構造から言えば、それほど雇用…

「7月の貿易収支黒字」について

「7月の貿易収支黒字」の続きです。 8月(速報)の貿易黒字は前年の2倍近い数字になりました。輸出が17.7%増加と高い伸びになり、輸入は16.1%増加にとどまったためです。ただ、8月は例年貿易黒字が小さな月です。2005年の例では1年間の黒…

地方の若者の職場 その2

「地方の若者の職場 その1」に、hamachanさん、rascalさんを始め皆さんから多数のコメントを頂きました。そのお返事を兼ねて前回の続きです。 hamachanさんが指摘されているように、企業が地方へ進出する可能性は確実とはいえません。かと言って、地方の若…

労働供給はなぜ需給に反応しないのか その2

「労働供給はなぜ需給に反応しないのか その1」では、普通の経済学の外にある理由を持ち込みました。ルール違反なのか、モラルサイエンスとしての経済学なら許されるのか、よく分かりません。 次の理由は、それに比べると伝統的なのではないかと思います。 …

この比較はやや疑問

田中秀臣先生が、こんな風にジョブカフェと大学の就職率の比較をされています。(http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20060919) 「群馬(のジョブカフェ)ではどういう基準からか不明だが」と制約は意識されているのですが「来所者47000人超に対し…

労働供給はなぜ需給に反応しないのか その1

「一部門、固定係数生産関数による日本経済の現状の分析の試み その2」に、Rascalさんから「何故、価格調整メカニズムが働かず、労働が過剰になるのかを説明する必要が出てくる」という的確なコメントを頂きました。 なお、「ハロッド・ドーマーの成長理論…

障害を持つ中学生、高校生の皆さん、先生を目指しませんか?

障害を持つ中学生、高校生の皆さん、雇用率制度を知っていますか?企業や公共団体はある率で雇うように義務づけられています。 教育委員会、小中学校、高校も例外ではありません。2%まで雇い入れるようにしなければならないのです。そして、教員免許を持つ…

地方の若者の職場 その1

「若者の就職 平成19年3月卒 その1」に、namiさんからコメントを、そのコメントに対する回答をhamachanからいただきました。 まあ、責任があるのかどうか分かりませんが、私も答えを。 特別有利な条件を持っているところ、例えば京都などを除き、普通の…