景気回復と労務管理 その2

景気回復と労務管理 その1」で書いた低賃金の非正規労働者が多数いることを前提とした企業、業態は、労働市場がタイトになり低賃金では非正規労働者がいなくなると、経営困難に陥ります。 外部労働市場では、賃金は需給関係で決まります。需給が緩和すると急速に低くなり、タイトになると急速に上がります。内部労働市場労働市場の需給の影響は受けますが、ある程度その影響を遮蔽することができます。 市場で賃金が上昇しているときに、自社の賃金を上げずにいると、人手不足になるか、労働者の質が落ちてしまいます。一旦、外部労働市場に依存する体質になると、外部労働市場から抜け出すのは相当な努力が必要です。 この性質を十分理解した上で、外部労働市場を利用していたらいいのですが、そうでないと外部労働市場を利用したつもりが、外部労働市場に飲み込まれる結果になってしまいます。 まあ、特定企業の問題ならいいのですが、問題は介護保険です。介護保険は、介護が家族で担われていたため、誰でもできる低技能の仕事と考えられていたこと、そして制度が発足したときに労働市場が緩和していて、比較的低い賃金で労働者を確保できたので、つい非正規労働者に頼ることを前提してしまいました。保険料は低賃金を前提の率に決められてしまったような気がします。 このような条件の下で賃金が上がると大変です。人手を確保するためには賃金を上げなければなりませんが、「介護職員 その5」で書いたように、賃金を上げることはできません。保険料の水準を適正な高さにしなければならないのですが、なかなか難しそうです。 施設はあるし、すでに入所者、利用者がいるのに労働者がいないという悲劇的な事態が起こりかねません。 人気blogランキングでは「社会科学」の37位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング