地方の若者の職場 その1

若者の就職 平成19年3月卒 その1」に、namiさんからコメントを、そのコメントに対する回答をhamachanからいただきました。

まあ、責任があるのかどうか分かりませんが、私も答えを。

特別有利な条件を持っているところ、例えば京都などを除き、普通の地方の話としてお読み下さい。

現在は少子化の時代ですが、子供は主に都市部で産まれています。前世代、いや、むしろ前前世代は地方で生まれ、学校卒業時に、あるいは大学入学時に都会へ移動しました。多くは次男、次女以下です。長男、長女と比べると地域的な移動が容易だったのです。また、彼らが都会へ出ていかず、農村に残ったとしたら、一人当たりの農地は狭すぎて暮らしていけないという事情もありました。

高度成長期に人口が都市部に移動した結果、産まれる子供も都市部の生まれが多いというのが現在の姿です。地方で産まれる子は少なくなっています。特に、地方で生まれた、二男、二女というのはほとんどいません。

地方で生まれた若者の職場の確保という課題にとって、これはいい面と悪い面があります。

いい面から書きますと、それほど多くの職場を作らなくてもいいと言うことです。例えば地方の高卒を全員の地元で採用しようとしても、その数はかつてほど大きくありません。就職希望者自体減っています。10年3月卒の就職希望者は30万人でしたが、9年3月卒業者では20万人です。これは全国平均ですが地方を取ると、もっと減り方は大きいはずです。いくら多く見積もっても10万人分位地方で高卒求人を増やせば、高校生の問題は解消するはずです。

悪い面を言うと、彼らを高度成長期のように都市部に移すという訳にはいかないということです。19年3月卒業者であれば、東海、東京圏に行く気になれば、数年前、例えば求人倍率が0.5しかなかった15年3月卒業者に比べてかなり容易に職場を探せるでしょうが、希望者は少ないと思います。

hamachanさんご指摘のように非正規労働の形で広域移動が行われているので、「当面の政策課題」としてその改善を図るという「事実上の広域移動政策」をとったとしても、そもそも移動すること自体が希望に反しているのですから、次善の策にとどまると思います。

その意味では、namiさんご主張の地方に職場を作るという政策には賛成です。ただ、hamachanさんご指摘のように地方の力で企業を誘致するのも、起業するのもそう簡単ではありません。

いくつか、私が可能性があると思っているものがあります。

経済が安定的に拡大を続けたときに、正規労働者(候補)を求めて、企業が地方に進出しないかと言うことです。東海、東京では、どうしても労働力が確保できないとなったとき、地方に目がいく可能性は残っています。ですから、経済政策は下振れリスクを、十分意識しながら進めるべきです。

(続く)

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