夕張市の症例研究 その1 ナショナル ミニマムと地方分権

夕張市が、もうすぐ財政再建団体になります。ここで、一種の社会実験のようなものが始まります。

まず、「ナショナル ミニマムと地方分権」についてで書いたの組み合わせの問題が分かります。

財政再建団体になれば、財政支出は極限まで削減されます。しかし、国民に必要不可欠な事業は行われるはずです。言い換えれば、やや、荒いのですが基準財政需要に相当するもの、あるいは法で市に支出が義務づけられたものと借金の返済になるはずです。

自主財源では、これを賄えないことは明らかですから、基準財政需要に不足する部分は、国民が面倒を見ることになります。具体的には、地方交付税交付金補助金が中心になるでしょう。もちろん緊急性のないもの、例えば学校の校舎の建て替えなどは、先送りされるでしょう。

今後、夕張市の行う事業は、現在の日本のナショナルミニマムが、実際にはどのようなものかを示すことになるでしょう。これまで、紙の上だけで議論されてきたことが、現実の社会の中で明らかになるのですから、非常に貴重です。法の定めが実際的かどうか、つまり理念的なナショナル ミニマムと合致するかどうかが分かることになります。

法に定めはないけれど、是非必要というものもあるでしょう。

夕張市のホームページ(http://www.city.yubari.hokkaido.jp/cgi-bin/odb-get.exe?wit_template=AM020000)を見ると市営浴場がいくつかがあります。多分、炭坑住宅の伝統を引き継いで得るのではないかと思います。確かに、浴場は必要でしょう。しかし、これが、基準財政需要に反映されているかどうか、国の補助があるのかどうかよく分かりません。もし、なければ、どうやって維持するか、知恵を絞らなければなりません。つい最近370円に値上げされていますが、これで収支が償うとは思えません。

逆に必要がないものがあるのも分かるかもしれません。

もう一つ注目すべきは、地方分権という考え方です。財政再建団体になり法律の定めるところだけを実施するようになると、市にできるのは、どうやってその事業をするかの工夫だけになってしまいます。

何をやるか、何をやらないかを完全に自由に決められる地方分権(ちょっと極端かもしれませんが。)の考える自治体とは全く別物になってしまいます。その時、自治体にはどういう意味があるのか、それも分かるはずです。

他にも分かることがあります。

(続く)

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