地方自治体の特殊勤務手当

会計検査院が、地方公務員の特殊勤務手当を問題にしているそうです。その中で公共用地の取得や補償交渉に携わった場合の「用地交渉等手当」が問題にされたようです。はなぶささんが「ニュースの裏側~地方自治体の特殊勤務手当」で紹介されている報道では、本来の業務であるのに特殊勤務手当が支払われているという観点からの指摘のようです。

はてな?これは、そんなに変な手当なのでしょうか?

おそらく、地方公務員でこのような仕事に携わっているのは、ごく普通の行政職員でしょう。用地交渉専門でそれをずっと続ける職員がいるとは思えません。普通の職員が、仕事のローテーションの中で、たまたま用地交渉に当たるだけでしょう。当然、このような職員の本給部分は全員共通の賃金表になっているに違いありません。

さて、本給については同じ賃金表を適用され、同じ格付けをされている職員の中で、たまたまきつい仕事をしている職員と普通のきつさの仕事をしている職員がいたら、何とかして仕事と賃金のバランスをとらなければなりません。とらないと不公平でしょう。きつい仕事を担当している職員から、不平不満が出るに違いありません。そういう状態では、仕事もうまく進まないでしょう。

では、どうやって仕事と賃金のバランスをとるか?

本給を上げてしまうと、その職員の格付けを上げることになり、それはずっとついて回りますから、きつい仕事から離れた後も、高い賃金を支払うことになります。それに、はなぶささんご指摘のように賞与や退職金になで跳ね返ってきます。これはバランスの観点からみてもまずいでしょう。

では、普通のきつさの仕事をしている職員とは別の用地交渉担当職員用の賃金表を作るか?これは、職員にずっと用地交渉をさせているなら、合理的な解決方法です。例えば警察官であれば、行政職員とはずっと仕事が違いますから、警察官専用の賃金表を作ればいいのです。多分作っているはずです。しかし、普通の職員にローテーションで用地交渉をさせているならこの方法は不合理です。

すると、そのきつい仕事についているときだけ、賃金を上げてやる仕組みが必要だと言うことになります。それが手当です。

もし、用地交渉が他の仕事よりもきつい仕事であれば、手当を支払うことは適切です。当たり前のことですが、この手当は、本来の仕事、この場合は用地交渉について支払われるものです。本来の仕事だから手当を支払うのはおかしいなどと言うことはありません。

繰り返しになりますが、多くの職員が本給について同じ賃金表を適用されている、でも、仕事の種類が幾つかあって、ローテーションで仕事を替わって行く。その仕事の中にはきついものがあって、仕事と賃金のバランスをとる必要がある。そういう場合、手当を払うことは、合理的です。それが、本来の仕事であってもです。

なお、その水準や支給する労働者の範囲について、問題があることはありえるでしょう。ここでいっているのは、手当の存在自体の合理性です。

ついでに言えば、用地買収、払ってもらえない税金の徴収、生活保護は、地方公務員の仕事の中で、きつい仕事であると言うのは、地方公務員の中にコンセンサスがあると聞いたことがあります。

用地買収に手当を払うことが妥当かどうかは、まず、現実に仕事をしている、仕事を知っている地方公務員に用地交渉がきつい仕事なのかどうか、意見を聞いてみれば良いのではないでしょうか?

人気blogランキングでは「社会科学」の33位でした。今日も↓クリックをお願いします。

人気blogランキング