所得と中絶

実質DDPを高めることが潜在実質GDP成長率を高めることに繋がるか?」で、景気と人口の変化の関係を調べてみました。

これに関連して、もう一つ考えてみます。所得と妊娠中絶の関係です。所得が高いと妊娠すれば、そのまま子供を産む、貧しいと中絶してしまうという可能性はありそうです。

そこで、都道府県別の一人当たり県民所得と人工死産率の関係を平成15年について調べてみました。データは平成15年度の県民経済計算から取った一人当たり県民所得(http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kenmin/h15/6_kenmin.xls)と平成15年の人口動態統計から取った人工死産率(http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/2003/toukeihyou/0004652/t0098830/ME170_001.html)です。

両者に関係があるかどうか、相関係数を計算してみました。

すると、47都道府県全部では、マイナス0.563でした。

相関係数がマイナスと言うことは一方が高いと、他方は低いと言うことです。つまり、この場合は一人当たり所得が高い都道府県では妊娠中絶率が低く、一人当たり所得が低いと中絶率高いという関係があるということです。

偶然と言うことがありますので、検定をしてみました。両側検定ですが0.1%水準で有意です。まあ、関係が全くないのにこのような相関係数が出てくるのは1000回に1回と言うことです。ほぼ確実に関係があると言っていいでしょう。

ただ、これを図にしてみると東京都だけがかけ離れた位置にあります。東京都を除いて、もう一度計算してみると、マイナス0.641でした。関係はよりはっきりしています。

関係があるということと因果関係があるということは別です。

可能性としては、3つあります。

1 所得が高いから、中絶率が低くなる。

2 中絶率が低いから、所得が高くなる。

3 共通の原因Xがあって、Xがあるから所得が高くなるという関係があり、同時にXがあるから中絶率が低くなる。

2はちょっと合理的な説明が付きません。

1は、あり得ます。

しかし、3もあり得ます。

ですから確実とは言えない面はあります。しかし、1の可能性は排除できません。

すると、景気が良くなると中絶が減るという可能性は否定できないということになります。

(2006.11.9 題名を変えました。)

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