介護労働者の立ち去り その2

皆さんから「介護労働者の立ち去り」にコメントをいただきました。

介護問題は、当事者つまり、介護を必要とされる方と介護しなめればならない方、多くの場合は家族の皆さんにとって大きな問題です。

ただ、多少、税金にせよ、保険料にせよ公的な資金の投入に国民の支持を得にくいところがあるようです。

ひとつには、自分や家族が利用するとは限らないということです。年金であれば、死なない限りいつかは自分も給付を受けます。医療保険であれば、よほどのことがない限り、自分か家族が利用します。切実感が薄く、自分の問題として考えないという傾向があるような気がします。

また、自分の問題としては考えたくない、老いて生活が不自由になったときのたときの自分を想像したくないということもあるのかもしれません。

自分の問題として考えない以上、公的資金には消極的になってしまいます。

もうひとつは、医療と違って介護には専門性があると感じにくいのかもしれません。医師や看護師は専門職と認められていますが、介護福祉士知名度、社会的地位は今ひとつですし、ホームヘルパーは誰でも簡単に取れる資格、誰でもできる簡単な仕事と考えられているようです。ですから高い金をかけるべきではないということになるのでしょう。

(財)介護労働安定センターが17年に行った「介護労働実態調査」によると、実際には、ヘルパーの約5割が腰痛の自覚症状があり、約3割がコルセットを使っています。また、不満の一位は「社会的評価が低い」ことであり、2位が「賃金が安い」ことです。(http://www.kaigo-center.or.jp/oshirase/tyousa3.html

賃金も安く、社会的評価も高くないとなれば、労働市場がタイトになってきたときに労働者をつなぎとめることは困難です。

なまじ制度発足時に労働市場がタイトでなく、比較的容易に、といっても集める側の担当者は相当苦労したと思いますが、集められたことが問題を表面化させなかったのでしょう。

私は、今後、問題が相当深刻にならない限り、国民は新たな負担を受け入れないと思っています。相続税や資産税いずれも政策としての妥当性はあっても、政治家は国民の抵抗が強いと判断し、国民に選挙公約として提案することはないでしょう。

正規労働者である産科、小児科の勤務医の立ち去りよりも、非正規労働者であるヘルパーの立ち去りのほうが早いかもしれません。そもそも、有期契約で雇ったり、登録制を取ること自体、契約期間が終わったらやめてもらってもいいですよ、いつやめてもらってもいいですようということ名のですから。義理はありません。

給付体制が崩壊に瀕して、初めて真剣な議論が政治の場で行われるのではないでしょうか?

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