地方公共団体間の若者獲得競争

地方の若者の職場 その2」で、「若者の争奪戦では、もう勝負がついています。再チャレンジを試みても体力を消耗するだけです。」と書きました。このときは現在の地方財政システムを前提に考えていました。

最近、地方公共団体に国の財政から必要最小限(ナショナルミニマム)の事業の財源と、課税自主権、そして支出に対する自主権も与え、競争させればよいという意見があります。

このようなシステムをとるとそうなるでしょうか?結論は変わるでしょうか?少し考えてみました。

若者を集めようとすれば、若者が暮らしやすい環境を整備して、若者を引き寄せるか、あるいは若者を雇用する企業を起こすか、呼び込むかしなければなりません。

ナショナルミニマムの財源と支出は存在しますから、後はどのような自主財源でどのような事業をおこなうかという問題になります。

財源を調達するときに若者に大きな負担をかけるようなシステムを採用すれば、若者は集まってきませんし、最悪の場合、今いる若者も出て行くかもしれません。若者はもともと移動しやすいグループです。親の介護などの問題がなければ出て行ってしまう恐れがあります。

重い負担を求めても出て行ってしまわないグループに財源を求めるのが適切です。そんなグループはいるでしょうか?います。貧しい高齢者です。特に体が弱いグループ、新しい土地へ移っても孤立してしまうのが目に見えているようなグループはまず出て行きません。

ただ、残念ながら、彼らは貧しいがゆえにそれほどの財源にはなりそうにはありません。したがって、負担を求めるだけではなく、彼らに対する施策を打ち切り財源を浮かすことを考えなければなりません。幸い、国からの規制はナショナルミニマムのことをしなければならいというものだけですから、自治体の判断で事業を止められます。

高齢者しか住んでいないような集落に通じる道路の補修を止めたり、様々なサービスを打ち切ればいいのです。

また、低所得層の追い出し、受け入れ阻止も重要です。自ら低所得層向けの住宅を建設したりすると財源にもならない貧しい高齢者が流入してくる恐れがあります。また国や都道府県が自らの地域内にそのような施設を作ろうとしたら絶対に阻止しなければなりません。

魅力のないグループ(貧しい高齢者、貧しい障害者、貧しい母子家庭、そう簡単には仕事に就けそうもない若者、貧乏人など)には、重い負担を求め、ナショナルミニマムの施策以外のものは絶対に行わない。その上で、仕事についている(容易につける)若者のための事業、若者を雇用する企業のための優遇措置をとる。これが合理的な戦略です。

それでも、普通の地方都市と普通の都会周辺の都市が若者獲得競争をすれば、勝敗がつきます。勝つものだけの競争などありえません。この場合、普通の地方都市は敗れるでしょう。基盤となる経済力で差がついてしまっていますから。

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