この比較はやや疑問

田中秀臣先生が、こんな風にジョブカフェと大学の就職率の比較をされています。(http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20060919

「群馬(のジョブカフェ)ではどういう基準からか不明だが」と制約は意識されているのですが「来所者47000人超に対して就職者は3000人超という『業績』を掲げているが、これでいくと就職率は6%であり、例えば大学からの就職率90%には及ぶべくもない。」

やや疑問です。

まず、群馬のジョブカフェのHPを調べてみます↓。

http://www.wakamono.jp/

http://www.wakamono.jp/dekiru.html

これによると、ここでは「情報提供」、「支援登録」、「職業適性診断」、「キャリアカウンセリング」、「ミニセミナー」などを行っています。

ちょっと変なのは、「支援登録者」ではなく「来所者」を表示していること。同じ人が何回も来ているのではないでしょうか。支援登録者では少ないので、多めに見える「来所者」を出したのではないか?仮に、一人が4.7回来ていれば3000÷(47000÷4.7)で30%になります。

逆に大学生100人が平均100回大学に来てそのうち90人が就職したなら、就職率は0.9%。

もう一つ、多分大学の就職率90%というのは、よく分かりませんが、4年生が卒業までに就職した率でしょう。進学者は分母から除かれているかもしれません。

ジョブカフェの利用は、サービス内容から特定の年齢、学年に限られているわけではなさそうなので、高校生や大学の1,2年生を含んでいるかもしれません。今仕事に就いている人もいるかもしれません。ただ、友達についてきただけの人もいるかも。そうすると仕事探しはこれからだったり、続けていたり、仕事に就く気のない人もいるかもしれません。異質なものを比較するのは、どうでしょうか?

また、大学は4年間教えて、就職の世話もある程度するところ、ジョブカフェは一時的な利用、これを比較する意味がよく分かりません。ジョブカフェに行く替わりに大学へ行くとか、大学の替わりにジョブカフェへ行くなどと言うことはあり得ないでしょう。

そして、ジョブカフェ、大学とも、ジョブカフェのサービス、大学の教育、就職支援を受けたから就職したのでしょうか?ハローワークならハローワークが紹介して就職した数ですから、意味はそれなりにはっきりしていますが、ジョブカフェ、大学の場合はどうなのでしょう?

この比較を基礎に何かを論ずるのは、未だ早いという気がします。

(2006年9月25日追記 田中先生から、この比較は田中先生ではなく、本田先生たちが事実上やっていることであるという趣旨のコメントをいただいています。コメント欄をご覧下さい。)

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