2014-01-01から1年間の記事一覧

毎月勤労統計でみる労働経済の動き(2014年5月確報) その1

「雇用と賃金を考える(2014年4月・常用労働者)」の続きです。 毎月勤労統計の2014年5月確報が発表されました。 一言でいえば、名目好調、実質不十分です。 まず、雇用の動きを見ると、常用雇用全体では1.4%増加で、一般労働者は0.7%増加、パートタイ…

27年度の年金引き上げ幅の圧縮を

26年の消費者物価の動向がおぼろげながら見えてきました。1月から3月までは1.3%程度、4月以降は3.3%程度と想定します。すると26年平均の物価上昇率は(1.3×3+3.3×9)÷12=2.8%です。あくまで予想です。消費税引き上げの効果は…

メイドさんも、やっぱり高い(はず)

女性の活躍を推進するために海外からメイドさんを雇えるようにしようという話が進んでいるようです。 開発途上国ならメイドさんの給料はそれほど高くないでしょう。しかし、彼女らが日本に来たとき、それなりの生活をするためには、やはり日本の水準で物を買…

ベビーシッターと市場原理

作家の橘玲氏がベビーシッター事件に関連して「次のように」書かれています。 政府が「待機児童ゼロ作戦」を始めたのは小泉政権の2001年ですが、それから13年たったのに事態はまったく改善しないばかりか、ますます悪化しています。このようなことが起きると…

「素朴な疑問」の答え

「素朴な疑問」の答えを書くとするならば、ある労働者に「新たな労働時間制度」を適用する場合には、企業は成果に応じて賃金を支払わなければならないと規定することが必要です。 「このポンチ絵」に書かれている要件は、残念ながら全くポイントを外している…

素朴な疑問

穴埋め問題 次の空欄に当てはまる言葉を書きなさい。 個人の意欲と能力を最大限に活用するため、労働時間ではなく成果で評価される「新たな□□制度の創設」が提案された。 これが常識を問う問題なら、正解は「賃金」です。 時事問題だと「労働時間」でしょう…

労働投入は、あまり変わっていない

「本当に人手不足?」に関連して、労働投入の変化を考えてみたい。毎月勤労統計から月平均の総実労働時間と常用労働者数をとり、二つをかけて月当たりの労働投入量を計算してみる。 労働投入年総実労働時間常用労働者数労働投入1997年157.641,3…

本当に人手不足?

「男性の就業率」の続きで、2014年5月版です。数字は次の通りです。 5月の男性の年齢階級別就業率(%)年齢1997年2008年2014年97年との差08年との差15~24歳47.744.141.1△6.6△3.025~34歳94.491.0…

人手不足の悲鳴など気にするな

「飲食店の変」で書き忘れたことがあるので、一言。 日本の若者の数は減っていく。彼らに若いときに、将来につながる十分な職業経験を積んでもらうことは、本人たちにとっても、日本の社会にとっても、経済にとっても大事なことである。 ファーストフード店…

飲食店の変

男性フルタイム労働者について考えたい。男性フルタイム労働者が増えている産業がないわけではない。 その一つが「飲食店」である。 飲食店全体では、常用労働者数は302万人で、産業計の4,661万人の6~7%を占めており、無視できるものではない。…

減っている男性フルタイム労働者

「雇用と賃金を考える(2014年4月・常用労働者)」で、毎月勤労統計の常用労働者の増加率を示したのですが、今日は人数を示します。今回は男女別も見ました。 常用労働者の増加(万人)男女全体フルタイムパートタイム男女計62 1843うち男10△716…

法学と経済学の発想の差

大内伸也教授の『解雇改革』を読んでいる。 よく整理された内容で、私のような法律の門外漢にもわかりやすく書かれている。解雇規制の歴史と現状、さまざまな解雇規制、経済学の立場からの評価、各国の法制などの説明は明晰であるとおもう。私にはアメリカの…

雇用と賃金を考える(2014年4月・常用労働者)

毎月勤労統計の2014年4月確報が発表されました。 フルタイムとパートタイムの雇用の動きが、5人以上事業所と、このうち30人以上の事業所で微妙に異なっています。総じて30人以上の事業所での雇用が相対的に低調です。 常用雇用の増加率(%)規模全体フ…

少産化は止まったのか、反転するのか?

「晩産化と少子化」で、次のように書きました。 その意味で私が注目しているのは昭和55年生まれ、30歳の女性です。0.65人生んでいます。5年年上の昭和50年生まれの女性は30歳で0.68人、35歳で1.14人産んでいました。昭和55年生まれ…

銀座は銀貨を作る組織

金子良事さんが、「『日本の賃金を歴史から考える』への質疑応答 その1 」で次のように書かれています。(このエントリーは力作です。) 江戸時代は金もありましたが、銀も大きいですからね。たとえば、路銀という古い言葉がありますが、これは今でいう旅費…

男性学卒者は保護されるべきではないか

「若者が働いている割合」と同じ総務省の労働力調査から。 4月は学校卒業者が労働市場に登場する時期です。労働力調査には完全失業者の中に「学卒未就職」というカテゴリーがあります。「学校を卒業して仕事に就くために,新たに仕事を探し始めた者」と定義…

男性の正規割合

雇用の質についてデータを見てみましょう。総務省統計局の労働力調査に、「役員を除く雇用者」のうち「正規の職員・従業員」の割合が示されています。 男性雇用者の年齢階級別正規割合(%)年齢2014年4月2013年4月差15から24歳58.356.…

男性の就業率

「就業率」の続きで男性の就業率を年齢別に見よう。 男性の年齢階級別就業率(%)年齢2008年2013年差15から24歳41.038.8△2.225~34歳90.689.3△1.235~44歳93.892.8△1.045~54歳93.492.4△…

就業率

ラスカルさんが、「真の失業率」で次のように書かれている。 雇用の改善は引き続き堅調であるが、労働市場のタイト化による給与の上昇局面はなかなか現れない。局面変化の兆しが感じられないことから、現下の雇用情勢が完全雇用に近づいてるという見方には、…

「男女の労働力率比率」その2

「男女の労働力率比率」の続きで、80%台前半の国です。いろいろな国があって、これといった特徴は見出せません。 男女の労働力率の割合(%)国割合オーストラリア84ベルギー84ハンガリー83スペイン82ポーランド81スロバキア81アイルランド8…

男女の労働力率比率

「不可解なジェンダーギャップ指数・女性の就業率」記事の謎が解けました。」では日経新聞の記事を批判しましたが、批判ばかりもなんなので、主な国の男女の労働力率の割合、女性労働力率÷男性労働力率(%)を元データで調べてみました。 まず、90%台の国…

「不可解なジェンダーギャップ指数・女性の就業率」記事の謎が解けました。

「不可解なジェンダーギャップ指数・女性の就業率」について元のデータに当って調べてみました。 元のデータは、World Economic Forum の 「Gender Gap Report 2013」です。236ページが日本のデータです。 日本経済新聞の記事には二つおかしなところがありま…

不可解なジェンダーギャップ指数・女性の就業率

本日(2014年5月26日)の日経新聞朝刊の「GROBAL DATA MAP」に日本の女性の就業率が男性の63,64%というグラフが載っています。記事によると「各データは世界経済フォーラムが136カ国・地域を対象にまとめた『グローバル・ジェンダー・ギャップ。リ…

配偶者控除の廃止で、女性の社会進出?大仰な。

配偶者控除の廃止、見直しが話題になっています。公平性とかいろいろな論点があると思いますが、その中で、女性の社会進出の障害をなくすためという議論があるようです。何とも大仰な議論だと感じます。 女性をいくつかのカテゴリーに分けて、廃止の効果を考…

雇用と賃金を考える(2014年3月・常用労働者)

毎月勤労統計の3月確保が先日発表されました。 (以下、%はすべて前年同期比です。) 賃金から見ていきます。 「雇用と賃金を考える(2014年2月・常用労働者)」で、「なかなか判断が難しい数字」と書きましたが、3月も難しいです。 理由は同じで、フルタ…

解雇の金銭解決

「長谷川主査提出資料がダメな件(2)解雇規制の話など」で取り上げられている長谷川主査のペーパーの関連部分は次の通りです。 Ⅲ.予見可能性の高い紛争解決システムの構築 ○我が国の働き方にかかるルールは極めて不透明であり、それは、新たな雇用創出や対…

日経「人手不足経済」下

「日経「人手不足経済」中」の次、最終回は「泥縄式の外国人活用」です。まあ、人手不足に対する定番とも言えそうな記事の内容です。 外国人技能実習生の話と介護士の話。介護施設で高齢者と直接接触する介護士が言葉が分からなくていいのか、コミュニケーシ…

日経「人手不足経済」中

「人手不足経済」中では「日経「人手不足経済」上」の続きで「かみ合わぬ需給」いうタイトルで介護労働力の不足の問題を取り上げています。 最初にハローワークでの声を拾っています。 「介護分野?低賃金で重労働。考えたこともない。」 働き手に社会保障分…

日経「人手不足経済」上

日本経済新聞が朝刊一面で「人手不足経済」という3回の連載をしていました。興味を持って呼んだのですが、あまり感心しませんでした。 第1回は「成長の天井」というタイトルでした。冒頭は、建設業者が破産した話から始まっています。 「公共事業拡大で業況…

若い非正規労働者への依存ができなくなる理由

「低賃金ビジネスモデルからの転換の動き」に、少し補足したいと思います。外食産業や小売店などの一部には、若い人を非正規労働者として雇うこと、大量出店を続けることをビジネスモデルとする会社があります。 好況になると、若い人たちが正規の仕事に就く…