配偶者控除の廃止で、女性の社会進出?大仰な。

配偶者控除の廃止、見直しが話題になっています。公平性とかいろいろな論点があると思いますが、その中で、女性の社会進出の障害をなくすためという議論があるようです。何とも大仰な議論だと感じます。 女性をいくつかのカテゴリーに分けて、廃止の効果を考えてみましょう。 1 未婚、死別など配偶者のいない方 廃止は全く関係ありません。就業促進にはつながりません。 2 フルタイムで働く配偶者がいて、ご自身がフルタイムで働いている方 ご自身は配偶者控除の対象にはほとんどなっていないはずです。労働時間を変えたりする必要はなく、効果はありません。 3 配偶者がいて、ご自身はフルタイムで働いていて、配偶者が働いていないかパートで働いている方 増税になりますが、働く時間を増やす余地はないでしょう。効果なし。 4 フルタイムで働く配偶者がいて、ご自身は働けるのに働いていないかた 増税になりますが、額は大したことはありません。もともと、パートで働こうと思えば働ける方なので、突然働き始める方が多いとは思えませんが、多少の効果はあるかもしれません。 5 フルタイムで働いている配偶者がいて、ご自身がパートで働き就業調整をしていない方 たぶん効果なし。 6 フルタイムで働いている配偶者がいて、ご自身がパートで働き、就業調整をされている方 働く時間を増やすことができます。ただし、フルタイムになるかどうかには影響しません。フルタイムになるなら、もともと配偶者控除は使えないのですから、今の制度ののままでもフルタイムになっているはずです。 結局、パートタイムで働いていて就業調整をしている方が、フルタイムにならない程度に労働時間を延ばすという効果しかなさそうです。これが。女性の社会進出ですか?大仰な。 厚生労働省の「平成23年パートタイム労働者総合実態調査」の表の10-1を読むと、パートタイム労働者のうち就業調整をしているのは15.6%しかいません。 数の上でも大したことはないでしょう。 配偶者控除の廃止は所得の分配に大きな影響を与えます。よく考えるべきでしょう。私が一番気にしているのは、女性がフルタイムで働いていて、配偶者が病気やけが、障がい、失業、家族の介護などで働けないというケースです。この配偶者が働くわけにはいきませんから増税だけがのしかかることになります。 人気blogランキングでは「社会科学」の26位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング