日経「人手不足経済」上

日本経済新聞が朝刊一面で「人手不足経済」という3回の連載をしていました。興味を持って呼んだのですが、あまり感心しませんでした。

第1回は「成長の天井」というタイトルでした。冒頭は、建設業者が破産した話から始まっています。

「公共事業拡大で業況が上向いたが労務費急騰で数十人の下請け社員を集められなくなった。仕事を受注できなくなり急速に資金繰りが行き詰まったという。」

ここで使われている「下請け社員」というのは聞きなれない言葉ですが、いったいなんでしょうか?自社の社員の話ではなさそうです。下請け会社が雇っている社員のことでしょうか?

そもそも、建設業界は工事量が増えて景気はいいはずです。建設業全体では雇用も増えています。要するに、この会社は経営に問題があり、人件費を払う能力が低かったということではないでしょうか?お気の毒だとは思いますが、日本経済全体にとって大きな問題とは言えないでしょう。これを問題だとするなら、効率の低い企業をすべて温存しなければならなくなります。公共事業を急に削減しすぎて建設業界全体が不況に陥っているというなら、対策を講じる必要もあるかもしれませんが、いったい何をしろというのでしょうか?公共事業の削減でしょうか?そうしたら今度は、「仕事がなくて倒産」となるのではないでしょうか?

次に出てくるのがスーパーが取り上げられています。

「建設現場の人手不足で開店工事が進まず、14年度の出店計画を15店から8店に減らした」、「工事費増に目をつぶり開店こぎつけても」、「内定後に辞退したパートが20人」、「自転車操業だ」

これも私には価格メカニズムがうまく働いて、需要の調整、労働力の配分がうまくいっている例のように思えます。

労働力人口が減ることを「成長力の天井」と考えているようですが、ある資源が不足すれば、その価格が上昇し、それを節約するような技術が採用されたり、場合によれば節約するビジネスモデルが生み出されるのが、市場経済の強みです。過去の例からいっても労働力人口の増加率以上の成長は可能です。

取材をされた記者の方や、あるいはデスクも人手不足というものの経験が少ないのでしょうか?過剰に不安を感じているような気がします。高度成長の時期の歴史を顧みてみたらどうでしょう。人手不足って、働く側からすればいいものなのですよ。そんなに心配することはありません。

心配すべきなのは、価格メカニズムがうまく働かないような事態が発生することです。

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