27年度の年金引き上げ幅の圧縮を
26年の消費者物価の動向がおぼろげながら見えてきました。1月から3月までは1.3%程度、4月以降は3.3%程度と想定します。すると26年平均の物価上昇率は(1.3×3+3.3×9)÷12=2.8%です。あくまで予想です。消費税引き上げの効果は年平均では1.5%程度ということになります。(一部は来年に繰り越されますので。)
「物価スライド、物価スライド特例措置、物価スライド特例水準」で書いたように、物価が上昇すれば、本来は年金額は引き上げられることになります。ただし、名目手取り賃金率が物価上昇率ほど上がらなければ、賃金上昇率までの引き上げになります。
名目手取り賃金率はかなり特殊な算式で計算され、26年の物価上昇率が強く影響します。そこで、以下では物価上昇率と同じように賃金も上昇すると仮定します。
さて、特殊要因がなければ年金額はどのように変わるでしょうか。
消費税引き上げ分を除いた消費者物価の上昇1.3%-「マクロ経済スライド」0.9%=0.4%
の引き上げです。
しかし、今回は三つの特殊要因が働いています。まず消費税の引き上げによる物価上昇分2%。次に物価スライドの特例措置の解消による引き下げ0.5%。最後に特例措置解消までマクロ経済スライドが発動されません。
これを考慮すると、年金額の改定率は
物価上昇分2.8%-特例措置解消分0.5%-マクロ経済スライド0.9%(この項追加)=2.3%1.4%
となります。
年金の支給額は大体54兆円ぐらいだと見込まれますので、1兆28千億円の増額になります。これは1回限りの増額ではなく、永遠に続きます。
過大ではないでしょうか。このように消費税引き上げによる物価上昇部分が年金額に反映するのであれば年金受給者は消費税引き上げを負担しないことになってしまいます。この分は除いて物価上昇を考えるべきです。
また、特例水準の圧縮幅は25年度、26年度は1%でした。この時もマクロ経済スライドは停止されたのですが、今回は0.5%しか圧縮されません。マクロ経済スライドも0.5%圧縮して0.4%は実行すべきです。
このように考えると、年金改定率は、
物価上昇率1.3%-特例水準解消分0.5%-マクロ経済スライド0.4%-マクロ経済スライド0.9%(この追加)=0.4%-0.1%
になります。1.91.5%の圧縮です。
消費税の負担を国民全体で引き受けるべきこと、今後の年金財政の厳しさ、特例水準が本来もらいすぎであったこととを考えれば、この程度の圧縮は当然であると思います。
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