経済学

続小野理論 その1

「小野理論」のやり直しです。 ここで取り上げるのは小野善康『金融』(岩波書店)第5章までの小野モデルです。勉強の途中であり、浅学菲才のみで書いているので間違っている可能性は大いにあります。そのつもりでお読みいただきたい。 Ⅰ 小野モデルの特長 …

「再生可能エネルギーの買い取り価格」について

「再生可能エネルギーの買い取り価格」に,500drachmasさんから、次のようなコメントを頂きました。貴重な情報を提供していただきありがとうございます。 調達原価算定委員会の資料 http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/pdf/006_02_00.pdf 3ペー…

「東電よ、値上げするなら賃下げせよby河野太郎先生」について

「東電よ、値上げするなら賃下げせよby河野太郎先生」で、労務屋さんが次のように書いてられる。 全体としてとにかく値上げする以上は労働条件を引き下げろというトーンが非常に強く、まあ河野代議士の東電憎しの心情はわからないではないのですが、しかし国…

日本のオリガルヒ?

本日(2012年4月30日)の日本経済新聞に次によ言うな記事が出ていた。 経済産業省は29日、太陽光など再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が固定価格で買い取る新制度について、すでに事業者が販売している既存の発電設備分も買い取り対象に含める…

再生可能エネルギーの買い取り価格

自然エネルギーで発電される電力の買い取り価格の案が出されている。 http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/pdf/007_s01_00.pdf 実に不思議な気がする。発電方式によって買い取り価格が違うのだ。電力に差があるわけではないので、一物多価にな…

小野理論

(追記あり。修正あり。) 「小野善康『成熟社会の経済学』の紹介 その3」で小島寛之先生が次のように書かれている。 (引用開始) 蛇足になるが、ほとんどの読者にはどうでもいい専門的な話を一つつけ加えて終わりにする。最近ちょっと目にした小野理論に…

飯田先生にお伺いしたい。

飯田先生が、「完全に誤解してましたパート2(?) 」で、ご自身が「いろんなとこで解雇ルールの金銭化は主張しています」と書かれています。 まず、お伺いしたいのは、どのようなルールを考えていらしゃるのか?、具体的にどのような法律を考えていらしゃ…

流れ出て行ってしまった1兆6,217億円

去年と今年の1月から5月までの「原油・粗油」の輸入量はほとんど同じでした。去年が8,972万キロリットル、今年が8,974万キロリットル。差はわずか2万キロリットルです。 ところが、この代金となると大違いです。去年は2兆4,746億円、今年が4兆963億円です…

人的資本とGDP,NDP

GDP(粗国内総生産)から資本減耗分を差し引いたものがNDP(純国内総生産)であることは、マクロ経済学を学んだ者の常識です。資本の減耗分というのは、一つの概念ではありますが、時間の経過や生産に用いられることによって資本財が劣化し生産能力が…

結合生産物としての若手研究者

大竹先生が「人件費は研究費でないのか?」と事業仕訳での若手研究者の人件費の扱いを批判をされている。 大竹先生の批判は妥当なものだと思う。特に「研究には、確かに研究機材を買ったり、試薬を買ったり、調査をしたり、というところにお金ががかるのは事…

「相対的貧困率」は、格差の指標とは言い切れない

[つまるところ、「相対的貧困率」というのはもっぱら格差の指標であって貧困の指標ではないということなのですね(実際、日経新聞はわざわざ「経済格差を表す指標」と書いているわけで)。(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20091028)」という意見があります…

相対的貧困率

「等価可処分所得」では、6世帯、15人の等価可処分所得を計算しました。 この15人を等価可処分所得の高い順に並べてみると、こうなります。 1 山田さんのご主人 2 山田さんの奥さん 3 山田さんのおばあちゃん 4 山田さんのお子さん 等価可処分所得…

等価可処分所得

相対的貧困率を理解するためには、等価可処分所得という考え方を知っておく必要があります。 可処分所得ってなんだろうと思われる方は「可処分所得と消費支出」に詳しい説明があります。 ポイントだけにすると、収入から強制的に取られる分税金や社会保険料…

2分の1乗

相対的貧困率の話を書こうと思っているのですが、下準備を。 Nの6乗=1×N×N×N×N×N×N Nの5乗=1×N×N×N×N×N Nの4乗=1×N×N×N×N Nの3乗=1×N×N×N Nの2乗=1×N×N です。 ○乗というところに入る数字が一つ減るごとに、Nの数…

経済学士

飯田先生が「こんなこと」を書かれています。 「経済学・経済統計に関する知識に関して, 第一関門:教科書の経済学を理解しているか否か 第二関門:内生的成長理論,RBC,New Keynesianモデルを理解しているか否か 上がっているメンツを見る限りマクロの話…

社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その47

「社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その46」の続きで、テキストの「3.3.3 モデルの枠組み」と「3.3.4 将来財市場と基本債券」に入ります。 2期間のモデルで説明されています。 仮定1 財の種類に関するもの=条件付き将来財 1 個人…

社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その46

「社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その45」の続きです。 3.3 不確実性と資産価格 もし、「個人間の取引を捨象した代表的個人モデルが、多くの個人が資産市場で活発に取引している経済モデルに正確に対応している」(テキスト123ページ)…

社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その45

「社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その44」から、大分間が空いてしまいましたが。 今回は、再確認です。消費パターンと利子率の関係です。 (3-14)式は、次の代表的個人の主体均衡条件を示す。 債券の割引価格=第1期の総消費÷第2期の総…

「倫理的なエコノミスト」

ラスカルさんの英語練習「倫理的なエコノミスト」を読んでみました。 改善提案を少し。改悪になっている可能性無きにしも非ずですが。 成長は全てのものであり得るが、唯一のものではない エコノミストは、長いあいだ、成長に対する生まれながらの支持層であ…

では、何を基準に解雇者を人選するのを正当と認めるのか?

古い話ですがですが、この前の記事を書いていて、「では、何を基準に解雇するのか?」にhamachanさんから、「こんなコメント」をいただいてていたことを思い出しました。 私が書いた次の部分を引用されてのコメントです。何か、お腹立ちなのかなと思えるので…

混乱の本当の原因

「WEDGE大竹論文の問題点」で hamachanさんがこう書かれています。長いのですが引用します。 労働経済学者は往々にして、意識的にか無意識的にか、この両者(平家注 解雇権濫用法理と整理解雇4要件)をごっちゃにした議論をしたがるんですね。大竹先生だけ…

やっぱり、原油を買おう。

「原油価格大幅値下がり。今こそ原油を買おう。」から、1ヶ月飛ばしてしまいました。 2009年2月の貿易統計が公表されました。1月は対前年同月比61.1%の値下がり、2月は59.0%の値上がりです。 「原油及び粗油」の輸入価格(1リットルあた…

社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その44

「社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その43」で説明したモデルの特長は次の通りです。 1 所得の違いにもかかわらず個人の消費パターンが皆同じであり、したがって総消費のパターンと個人の消費のパターンがパラレルである。 2 割引債の市場で均…

Acemoglu

「小さな親切、大きなお世話、かな?」でWASSHOIさんに頼まれたAcemoglu、"Human Capital Policies and the Distribution of Income: A Framework for Analysis and Literature Review," (New Zealand Treasury Working Paper 01/03)の「5.3 教育の決定…

社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その43

「社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その42」に続き、財市場と割引債市場の均衡条件について説明します。 まず、財市場から始めます。このモデルでは、財の種類は一つで、これを投入して生産を行うことはなく、消費するだけです。つまり、消費財…

原油価格大幅値下がり。今こそ原油を買おう。

2008年12月の貿易統計が公表されました。「原油価格前年同月比2割値下がり。原油を買おう。」で示したとおり、10月は対前年同月比21%の値上がりでしたが、11月1には22%の値下がり、そして12月は49%の値下がりです。2007年12月は47%の値上…

社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その42

「社会人のための『新しいマクロ経済学』解説 その41」に続き、今回は「3.2 消費パターンの平準化と資産価格」に入ります。 「消費者には、各期一定の消費を維持しようとする性向があると仮定する。」とされています。日常の経験に照らしても、妥当でし…

続・非正規社員の雇用・生活保障

「非正規社員の雇用・生活保障」で取り上げた論説を大竹先生が「ご自分のブログ」にアップされました。文章の量の限界もあるのだと思いますが、基本的な点でよく分からないことがあります。 大竹先生は、 「不況という負の経済ショックを誰が負担するか、と…

小さな親切、大きなお世話、かな?

ラスカルさんたちが楽しそうに遊んでいる(http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20081230/1230649946#seemore)ので、ちょっかいを少し。 6 不平等を縮小する政策 (中略) 6.2 課税による再分配(再分配課税) 課税による再分配(再分配課税)は、所得不…

では、何を基準に解雇するのか?

「非正規社員の雇用・生活保障」で「もし、不安定な職にそれなりのリスクプレミアムがついていて、しかも低賃金になっているということであれば、正社員と非正社員の労働の質、仕事に差があるか、正社員たる地位には、例えば拘束性が強いとか不払い残業をし…