家計

2016年の勤労者家計を考える

「2016年4月分家計調査の検証」について でも取り上げた勤労者家計の状況ですが、少し振り返ってみようと思います。 予め書いておきますが、これは統計局に対する批判でも、家計調査に対する不信感の表明でもありません。限られた予算の中で可能な限り…

2016年5月分家計調査の検証

「2016年4月分家計調査の検証」に続いて、勤労者世帯の5月分の検証をしたいと思います。5月分では消費支出が前年同月比名目3.3%、実質%減ったことが話題になりました。悲観的に捉えられているようです。 以下で見る通り、これは自動車税の改正に…

2016年4月分家計調査の検証

「家計調査の検証 その4」 5万人未満都市・町村の勤労者世帯のうち世帯主の勤め先が民間職員、官公である割合の前年差は次の通りです。 人口民間職員、官公である割合の前年差(%ポイント)月2014年2015年2016年1月△1.711.0△7.02…

家計調査3月分の検証

2016年5月3日追記 申し訳ないことに計算間違いをしていました。修正しました。 「家計調査の検証」、「家計調査の検証 その2」「家計調査の検証 その3」、「家計調査の検証 その4」などで書いた検証を3月分でも行いました。 結果は大体同じで、や…

家計調査の検証 その4

「家計調査の検証 その3」で取り上げた5万人未満都市・町村の世帯主の勤め先が民間職員、官公である割合の前年差は次の通りです。 人口民間職員、官公である割合の前年差(%ポイント)月2014年2015年2016年1月△1.711.0△7.02月△1…

家計調査の検証 その3

「家計調査の検証」では2月分の検証をしましたが、1月分についても検証を行います。消費支出に2月とは違う特徴があるからです。 「家計調査の検証その2」で書いたような世帯分布の変化は1月でも生じています。サンプルの入れ替えが少しづつである以上当…

家計調査の検証 その2

「家計調査の検証」で書いた大きな変化に対する私の評価は、1実際にはそのような大きな変化は起きていない、昨年の値が実態より大かった、きすぎたというものです。 家計調査では地域を、人口の大きい方から、大都市、中都市、小都市A、小都市B・町村の4…

家計調査の検証

「家計調査 2016年1月 その2」について 2月分の家計調査が発表になりました。かなり消費の動きはネガティヴに捉えられているようです。私はそれほど悲観的な数字ではなかったと捉えています。 まず、家計調査の基礎的な事項ですが、地域区分がありま…

家計調査 2016年1月 その2

まず、消費に直結する世帯当たりの可処分所得ですが、市部ではわずかな横ばいです。これに対して郡部では大幅な減少です。6.5%の減少というのはいささか大きすぎるように思われます。「家計調査 2016年1月」でも書きましたが、ウェイトは市部が85…

家計調査 2016年1月

家計調査の1月分を読んでいて気が付いたことを少し。勤労者家計の統計表で家計を居住地で人口5万人未満の市、町村とそれ以外に分けたものがあります。便宜上前者を郡部、後者を市部で表します。 この二つの間には水準にも差がありますが、1年前と比較する…

ボーナス期の家計の動き その2

「ボーナス期の家計の動き その1」では、収入についてみたのですが、今回は可処分所得と消費、平均消費性向などを検討したいと思います。これには結構悩ましい問題があります。 まず、素直に統計を再現した場合の動きです。 家計の動き6月、7月平均(円)…

ボーナス期の家計の動き その1

サラリーマンなら、そしてその家族でもボーナスをもらうのは嬉しいでしょう。 ボーナス時期の勤労者家計の所得と消費の動きを見ようと思うのですが、ちょっとややこしい問題があります。冬のボーナスは12月に集中していて、年によって変わることはあまりあ…

実質でみた財・サービス区分別消費(4月)

「実質でみた「耐久消費財(3月)」」の続きです。 消費税率引き上げの影響を除いて消費の動向を見るため、12月まで前前年比を追いかけようと思います。耐久消費財を除けば2018年1月以降は2017年との比較、つまり対前年比で見ても構わなくなると…

実質でみた「耐久消費財(3月)」

「耐久消費財(3月)」では、名目値の比較をしましたが、今回は実質値の比較です。 3月の財・サービス区分別支出の実質増加率(%)種類13年との比較財・サービス計△2.0耐久財△5.4半耐久財△4.3非耐久財△2.6サービス△0.7 サービス>非耐久…

耐久消費財(3月)

家計調査には、消費支出を、耐久財、半耐久財、サービスに分類した表があります。消費支出がすべてこの4つに分類できるかどうかというとそうではありません。「交際費」のうちの「贈与金」、「その他の交際費」と「こづかい」と「仕送り金」はどんなものに使…

「相対的貧困率」は、格差の指標とは言い切れない

[つまるところ、「相対的貧困率」というのはもっぱら格差の指標であって貧困の指標ではないということなのですね(実際、日経新聞はわざわざ「経済格差を表す指標」と書いているわけで)。(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20091028)」という意見があります…

相対的貧困率

「等価可処分所得」では、6世帯、15人の等価可処分所得を計算しました。 この15人を等価可処分所得の高い順に並べてみると、こうなります。 1 山田さんのご主人 2 山田さんの奥さん 3 山田さんのおばあちゃん 4 山田さんのお子さん 等価可処分所得…

等価可処分所得

相対的貧困率を理解するためには、等価可処分所得という考え方を知っておく必要があります。 可処分所得ってなんだろうと思われる方は「可処分所得と消費支出」に詳しい説明があります。 ポイントだけにすると、収入から強制的に取られる分税金や社会保険料…

唐様で売り家と書けばいいのでしょうか?毎日新聞

風流にふけりすぎて御店を傾けた3代目が豪華な座敷で考えています。 どうやって金を手に入れればいいのだろうか? 思案投げ首、ふと天井を見上げて気がつきます。 何だ、簡単じゃないか。この屋敷を売ればいいだけじゃないか。 そして、硯を引き寄せ、さら…

可処分所得と消費支出

今回は、「実収入」で説明した「実収入」に引き続いて、「可処分所得」と「消費支出」について説明します。 その説明をするためには、前もって「実支出」と「非消費支出」を説明しなければなりません。 「実支出」から始めます。 収入の方では、実収入とは資…

実収入

「家計調査」 で、いくつか専門用語を説明なしに使ってしまいました。ここで、説明をしておきます。 まず、実収入(「じっしゅう」にゅうと読みます。)から。これは、「家計調査」を知っている人でないと、まず聞いたことのない言葉だと思います。私も最初…

家計調査

8月の家計調査の結果が出たのですが・・・。 http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/zen/zuhyou/fies_t1.xls 全世帯では、前年同月に比べて消費支出はマイナス0.6%。 所得も分かる勤労者世帯では、実収入マイナス2.4%、可処分所得マイナス2.…

格差縮小?

「national median について」で書いた日本の所得分布について、新しく平成16年の国民生活基礎調査が発表になりました。 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa04/2-1.html 15年と比べると中央値は476万円で変化がありません。平均…

national median について

労務屋@保守親父さんが、 national median(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20050302)で ユニセフの報告書のnational medianは、平均値か中央値(中間値)かどちらだろうと質問されています。 中間値というのは、所得を例に取ると、一番所得の高い世帯から…