2016年5月3日追記
申し訳ないことに計算間違いをしていました。修正しました。
「
家計調査の検証」、「
家計調査の検証 その2」「
家計調査の検証 その3」、「
家計調査の検証 その4」などで書いた検証を3月分でも行いました。
結果は大体同じで、やはり、5万人以下の市町村での標本誤差の影響で、所得、支出が大きく下方に歪んでいるというものです。
収入から見ていきます。勤労者世帯の消費の元は主に勤め先の収入であることは言うまでもありません。その収入の中でも安定しているのは世帯主が勤め先から得ている定期収入です。なお、世帯のメンバーが得ている
公的年金も安定した収入ですが、支払いが偶数月なので3月分では無視していいでしょう。
名目の前年同月比をとると次のようになっています。
収入の変化(単位:%)地域 | 全国 | 人口5万人以上市 | 人口5万人未満市・町村 |
---|
実収入 | 0.3 | 2.12.0 | △9.4△10.4 |
勤め先収入 | 0.8 | 2.72.6 | △9.8△10.9 |
定期収入 | △0.7 | 0.7 | △10.2 |
一見して明らかなように、圧倒的多数派である5万人以上市の実収入、勤め先収入は堅調で、定期収入も微増ですが、少数派である5万人未満市・町村が極めて大きな減少となっているため勤労者世帯全体では、実収入、勤め先収入が微増になり、定期収入は減ってしまっているというのが3月の状況です。
なお、
労働力調査によると、二人以上の世帯は前年同月比0.5%増加しています(3,551万世帯から3,569万世帯へ。)。勤め先収入の伸び率にこれを加えると、全体なら1.3%、5万人以上なら3.1%です。2月の毎月勤労統計から得られる雇用者所得の伸びは、「
毎月勤労統計で見る労働衛材の動き(2016年2月」、2.6%だったので5万人以上の数字の方が近くなっています。
次に問題の支出を見てみましょう。
支出の変化(単位:%)地域 | 全国 | 人口5万人以上市 | 人口5万人未満市・町村 |
---|
実支出 | △4.7△5.0 | △2.7△2.6 | △16.0△19.0 |
消費支出 | △4.9△5.2 | △2.9△3.0 | △15.4△18.2 |
非消費支出 | △3.8△4.0 | △1.0 | △18.4△22.6 |
>勤労所得税 | 3.73.6 | 7.16.7 | △18.3△22.4 |
ここでも大きな差が生じています。注目の的の消費支出は、圧倒的多数派である5万人以上市では2.9
3.0%減ですが、5万人未満市・町村が15.4%減
18.2%減とありえないような減り方をしているため勤労者世帯全体が4.9%
5.2%も減るという結果になっています。非消費支出も同じような結果です。勤労
所得税は、全体では3.7%
3.6%、5万人以上では7.1%
6.7%増加です。税収では3月の
所得税の
源泉徴収分は5.6%伸びています。
支出の変化(単位:%)地域 | 全国 | 人口5万人以上市 | 人口5万人未満市・町村 |
---|
可処分所得 | 1.3 | 2.82.7 | △7.2△7.7 |
消費支出 | △4.9△5.2 | △2.9△3.0 | △15.4△18.2 |
平均消費性向 | 5.9下落 | 5.3ポイント下落 | 9.0ポイント下落 |
可処分所得でも、5万人未満が大きな減り方をしたために全体が1.3%と小さな伸びになっています。5万人以上であれば、2.8%
2.7%の増加です。平均消費性向は5万人以下で大きく低下していますが、5万人以上でも低下しています。
可処分所得は増えているのに、なぜ消費は停滞しているのでしょうか?
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