サラリーマンなら、そしてその家族でもボーナスをもらうのは嬉しいでしょう。
ボーナス時期の勤労者家計の所得と消費の動きを見ようと思うのですが、ちょっとややこしい問題があります。冬のボーナスは12月に集中していて、年によって変わることはあまりありません。これに対して夏のボーナスは、6月が多いのですが、7月もかなりあり、年によって変動もします。前年比で6月だけ、7月だけを見ると変なことが起こる可能性があります。
今年、2015年はまさにそのような現象が起こったようで、家計調査の世帯主の賞与の伸び率が6月と7月で大きく違っています。そこで、6月と7月の平均値をとって比較をしてみることにしました。ボーナスを毎月もらうことはないので、賞与の額は示した額の2倍だと考えてください。前年比はそのまま読んでいただいて結構です。
まず、世帯員が勤め先から得た所得から。
家計の動き6月、7月平均(円)、(%)項目 | 2015年 | 2014年 | 増加額 | 増加率 |
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勤め先収入 | 618,201 | 594,002 | 24,199 | 4.1 |
うち世帯主の勤め先収入 | 527,434 | 515,452 | 11,982 | 2.3 |
うち定期収入 | 349,247 | 346,335 | 2,912 | 0.8 |
うち賞与 | 175,541 | 165,550 | 9,991 | 6.0 |
配偶者の収入 | 82,178 | 69,799 | 12,379 | 17.7 |
うち配偶者が妻である場合 | 81,178 | 68,575 | 12,603 | 18.4 |
>うち配偶者が妻である場合(X) | 75,087 | 68,575 | 6,513 | 9.5 |
まず、世帯全体としては勤め先収入は2万4千円、4.1%増えています。悪くない数字です。増えたのは世帯主と配偶者でおよそ半分ずつです。配偶者の収入の増加の貢献が大きく感じられます。世帯主に限ると1万2千円、2.3%の増加です。このうち定期収入は3千円、0.8%ほどの増加です。賞与は1万円、6.0%の増加です。
二人以上の世帯の世帯主に限れば、実質でみても定期的な賃金は増加しています。毎月勤労統計ではフルタイム、パートタイムの平均になり、しかも独身者も交じっているのでその平均賃金の動きからは、各銘柄の賃金の動きが分かりにくいのですが、銘柄別にみれば実質賃金は上がっているとみるべきでしょう。つまり、独身者などの増加が平均賃金を押し下げているという説の傍証になっていると思います。
世帯主の妻の収入が1万3千円、18.4%も増えています。これには注意が必要です。というのは、妻が働いている割合が45.0%から48.7%に上昇していて、この効果が含まれているからです。有業率=勤めている割合と考えて、有業率が変わらなかった場合の収入を試算すると、7万5千円で、増加額は6千5百円、増加率は9.5%になりました。妻の所得の増加の半分弱は働く妻の増加によるものです。
まとめると次のようになります。雇用状況の改善を背景に世帯主の定期給与は(実質でみても)微増した。また、賞与は大きく増えた。妻の収入増の貢献は半分ほどはあり、そのまた半分は賃金の増加、残る半分は、雇用情勢の好転もあって働く妻の割合が高まったことによる。
消費の先行きを考えるなら、世帯主の定期収入とボーナスを除いた配偶者の収入(これがよく分からないのですが)に着目していくべきでしょう。
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