家計調査の検証 その3

家計調査の検証」では2月分の検証をしましたが、1月分についても検証を行います。消費支出に2月とは違う特徴があるからです。 「家計調査の検証その2」で書いたような世帯分布の変化は1月でも生じています。サンプルの入れ替えが少しづつである以上当然です。 小都市B・町村の世帯(2月)(%)>
世帯主の年齢2014年2015年2016年14→1515→16
30歳未満2.13.92.61.8△1.3
30歳台21.814.419.0△7.44.6
40歳台24.735.930.211.3△5.7
50歳台32.431.127.4△1.8△3.7
60歳台18.612.618.9△6.06.3
70歳以上0.02.12.02.1△0.1
この表からは、賃金の高い40歳台の世帯主の構成比が上がり、低い30歳台、60歳台のものが下がるという現象が2015年に起こり、2016年位は元へ戻っていったことが見て取れます。これは2月と同じです。ただ、50歳代は2015年にかけてもやや減っています。これは2月と違う点です。 小都市B・町村の世帯(2月)(%)
世帯主の職業2014年2015年2016年14→1515→16
常用労務作業者51.440.046.8△11.46.8
臨時、日々労務作業者0.00.40.50.40.2
民間職員31.439.033.07.6△6.0
官公職員17.320.619.73.4△1.0
世帯主の職業の変化は2月分と同じです。最後は、世帯主の勤め先の企業規模です。これは2月分と少し違いがあります。 小都市B・町村の世帯(2月)(%)
有業人員の勤め先企業規模2014年2015年2016年14→1515→16
1から99人32.828.828.1△4.1△0.7
100から999人14.915.915.61.1△0.3
1,000人以上11.910.011.3△1.91.3
官公18.121.019.72.9△1.3
不明22.324.325.42.01.1
2月分と共通なのは2015年に官公と不明の割合が増え、2016年には元の方向に戻ったことです。 以上のように変化方向に多少の違いはあるもののおおむね一致しています。このため収入については同じような動きになっています。 収入の変化(単位:%)
地域全国人口5万人以上市人口5万人未満市・町村
実収入△1.3△0.5△6.4
定期収入△2.4△0.8△11.7
(注)奇数月は公的年金の支給月ではないので公的年金は省きました。 一見して明らかなように、圧倒的多数派である5万人以上市の収入全体、安定した収入もそれほど減っているわけではないのに、少数派である5万人未満市・町村が大きな減少となっているため勤労者世帯全体が減っています。これは基本的には2月と同じ状況です。 2月分と差があるのが支出です。 支出の変化(単位:%)
地域全国人口5万人以上市人口5万人未満市・町村
実支出△2.7△3.0△1.0
消費支出△2.0△3.10.4
2月分とは逆に5万人以上市の支出の伸びが5万人未満市・町村のそれを下回っています。 収入・支出の変化(単位:%)
地域全国人口5万人以上市人口5万人未満市・町村
可処分所得△0.90.0△6.5
消費支出△2.0△3.10.4
平均消費性向1.5ポイント低下2.9ポイント低下6.1ポイント上昇
5万人未満で可処分所得が減ったときに平均消費性向ががるのは不思議ではありませんが、消費が増えるのは違和感があります。 そこで、少し検討をしてみました。購入頻度の少ない、つまり統計のブレの大きくなりがちな「家事用耐久財」、「冷暖房器具」、「一般家具」、「自動車等購入費」、「自転車購入費」、「教養娯楽用耐久財」と正月であるという事情の影響を受けそうな「一般外食」、「交通」、「宿泊料」を除いた消費支出を計算すると次のようになります。 収入・支出の変化(単位:%)
地域全国人口5万人以上市人口5万人未満市・町村
可処分所得△0.90.0△6.5
特殊なものを除いた消費支出△5.0△4.6△7.8
修正した平均消費性向3.3ポイント低下3.7ポイント低下1.1ポイント低下
こうすると2月と同じように、5万人以下が全体の消費の伸びを抑制していることになります。ただし2月ほど極端な差ではありません。このような支出項目の選択が妥当かどうかは、慎重に考える必要があるでしょう。 人気blogランキングでは「社会科学」の10位でした。今日も↓クリックをお願いします。 人気blogランキング